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建設会社がドローン事業に参入した新事業進出補助金の活用事例

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建設会社のドローン事業参入|新事業進出補助金の活用事例

建設業界ではi-Construction(建設DX)の推進により、ドローンを活用した測量・点検が急速に普及しています。国土交通省は公共工事でのICT活用を義務化する方針を示しており、ドローン測量・点検の市場は2025年で約2,800億円に達すると推計されています。

本記事では、建設会社がドローン測量・点検サービス事業に参入し、新事業進出補助金(旧事業再構築補助金)を活用して事業化に成功した具体的な事例を紹介します。機材投資、パイロット育成、顧客獲得から売上推移まで詳細に解説します。

項目内容
業態転換土木・建築工事(施工業)→ ドローン測量・点検サービス(サービス業)
投資総額5,800万円
補助金額2,900万円(補助率1/2)
主なサービスドローン測量、インフラ点検、3D計測、空撮

建設会社がドローン事業に有利な理由

建設会社は「現場を知っている」というドローン事業における最大の強みを持っています。測量の精度要件、施工管理の基準、安全管理のルールを理解しているため、IT系のドローン企業にはない「現場感覚」でサービスを提供できます。

事例企業の概要|地方の中堅建設会社が直面した課題

北関東の建設会社J社(従業員50名、年商8.5億円)は、公共工事を中心に土木・建築工事を手がける中堅ゼネコンです。創業45年、地元での信頼は厚いものの、近年の経営環境は厳しさを増していました。

J社が直面していた3つの課題

課題具体的な状況影響
①深刻な人手不足技能者の平均年齢56歳、若手採用が3年連続ゼロ工期遅延リスク、受注制限
②利益率の低下人件費上昇と資材高騰で営業利益率が3%まで低下経営の安定性が低下
③公共工事の減少地方の公共工事予算が縮小傾向売上の先行きが不透明

特に深刻だったのは人手不足です。現場監督の平均年齢が56歳に達し、5年以内に10名が定年退職を控える状況でした。若手の採用は「3K(きつい・汚い・危険)」のイメージから難航し、3年連続で新卒採用ゼロという事態に陥っていました。

ドローン事業への参入を決断した背景

J社の社長がドローン事業に着目したのは、公共工事の現場でi-Constructionへの対応が求められるようになったことがきっかけです。

i-Constructionでは、3D測量データの提出が求められる案件が増加しており、J社は外部の測量会社にドローン測量を委託していました。その委託費は1現場あたり50〜100万円で、年間で約800万円のコストが発生していました。

「外注するなら自社でやろう」からの発想転換

当初は「自社工事のコスト削減」が目的でしたが、周囲の建設会社も同様にドローン測量を外注していることに気づきました。「自社で内製化するだけでなく、他社にもサービス提供すれば新事業になる」という発想が、新事業進出補助金の申請につながりました。

投資計画と補助金の活用内訳

J社は新事業進出補助金で以下の投資を行いました。

経費区分内容金額
機械装置費産業用ドローン(測量用3機、点検用2機、予備1機)1,800万円
機械装置費3Dレーザースキャナー、RTK-GNSS基準局1,200万円
機械装置費データ処理用ワークステーション3台、3Dソフトウェア600万円
建物費ドローン格納庫・メンテナンス工房の新設800万円
研修費ドローンパイロット養成(国家資格取得)、3D測量研修600万円
広告宣伝費Webサイト、デモンストレーション動画、展示会出展400万円
外注費サービス設計コンサルティング、マニュアル整備400万円
投資総額5,800万円
補助金額(補助率1/2)2,900万円

ドローン事業の資格要件

2022年12月からドローンの国家資格制度(一等/二等無人航空機操縦士)が開始されました。特に目視外飛行や人口集中地区での飛行には一等資格が必要です。J社は社員5名に一等資格を取得させ、研修費として600万円を投資しました。資格取得費用は補助対象になるため、計画書に取得スケジュールを明記してください。

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ドローンサービスの設計|4つのサービスライン

J社は建設業界での知見を活かし、4つのドローンサービスラインを設計しました。

サービス1: ドローン測量(3D点群データ作成)

項目内容
概要ドローンによる空撮写真から3D点群データ・等高線図・断面図を作成
精度水平精度±2cm、垂直精度±3cm(RTK-GNSS使用時)
対応面積1,000㎡〜100ha
料金基本15万円+面積1haあたり5万円
納品物3D点群データ、オルソ画像、数量計算書

サービス2: インフラ点検(橋梁・建物外壁)

項目内容
概要橋梁、トンネル、ビル外壁、煙突等のドローン点検
使用機材赤外線カメラ搭載ドローン、ズームカメラ搭載ドローン
メリット足場不要で安全・短期間・低コスト(従来工法の1/3〜1/5)
料金1棟15万〜80万円(規模による)
納品物点検報告書、損傷箇所マッピング、補修提案

サービス3: 工事進捗管理(定期空撮)

項目内容
概要建設現場の定期空撮で工事進捗を可視化
頻度週1回〜月1回
料金月額5万〜15万円
付加価値タイムラプス動画、3D完成予想との重畳表示

サービス4: 不動産・観光向け空撮

項目内容
概要不動産物件の空撮、観光プロモーション動画の撮影
料金1案件10万〜50万円
ターゲット不動産会社、自治体、観光協会、ゴルフ場

サービス設計のポイント: 建設+αの展開

J社が設計した4サービスのうち、サービス1〜3は建設業界向け、サービス4は非建設領域です。建設業界向けサービスで確実な収益基盤を築きながら、非建設領域にも展開することで市場を拡大する戦略です。事業計画書では、この「段階的な市場拡大」の道筋を示すことが重要です。

パイロット育成|建設技術者からドローンパイロットへ

J社はドローンパイロットを外部から採用するのではなく、既存の建設技術者を再教育する方針を取りました。

段階内容期間対象者
1. 基礎飛行訓練ドローンスクールでの基礎操縦訓練(屋内・屋外)2週間5名
2. 国家資格取得二等無人航空機操縦士の取得、うち2名は一等を取得1〜3ヶ月5名
3. 測量・点検専門訓練3D測量データ処理、赤外線画像解析、点検報告書作成2ヶ月5名
4. 現場OJTベテランパイロット同行のもと実現場で飛行3ヶ月5名

建設技術者がパイロットに適している理由

建設現場の経験者は「安全管理」の意識が高く、ドローン飛行のリスク管理に優れています。また、測量の基礎知識があるため、3D測量データの精度管理や数量計算への理解が早いです。J社では、現場監督経験10年以上のベテラン3名が最も優秀なパイロットに成長しました。「現場を知っている人間がドローンを飛ばす」ことの価値は、顧客からも高く評価されています。

事業化後の業績推移と成果

J社のドローン事業の業績推移を紹介します。

指標1年目2年目3年目
ドローン測量件数85件150件220件
インフラ点検件数20件45件80件
空撮・その他件数30件50件65件
ドローン事業売上4,500万円8,800万円1.4億円
ドローン事業営業利益率18%28%32%
建設事業売上8.2億円7.8億円7.5億円
全社売上8.65億円8.58億円8.9億円
全社営業利益率5%8%12%

建設事業の売上が微減するなか、ドローン事業が全社の利益率を大幅に改善しました。3年目には全社営業利益率が12%に達し、建設事業単独時代の3%から4倍に向上しました。

副次効果: 若手採用の改善

ドローン事業を開始したことで、J社の採用に大きな変化が起きました。「ドローンパイロット」という新しい職種をアピールしたところ、3年間で8名の若手(20〜30代)を採用できました。うち4名はドローン事業、4名は建設事業に配属。「テクノロジーを使う建設会社」というイメージが、若手の就職先として選ばれる要因になりました。

ドローン事業の法規制と許認可

ドローン事業を始める際に押さえるべき法規制と許認可を整理します。事業計画書にも必ず記載してください。

法規制/許認可内容対応方法
航空法飛行禁止空域、飛行方法の制限飛行許可申請(DIPS)で国土交通省に申請
無人航空機操縦士資格一等/二等の国家資格登録講習機関で受講→実地試験合格
機体登録100g以上のドローンは機体登録が義務DRS(ドローン登録システム)で登録
賠償責任保険万が一の事故に備える対人1億円以上の保険に加入
測量業者登録測量サービスを提供する場合に必要測量士または測量士補の配置、国土地理院への登録

測量業者登録の要否に注意

公共測量を行う場合は測量業者登録が必要です。民間の測量であれば不要ですが、公共工事に関連する測量は登録が求められます。J社は建設業の許可に加えて測量業者登録も取得し、公共・民間の両方に対応できる体制を構築しました。

建設会社のドローン事業参入|事業計画書のポイント

建設会社がドローン事業で新事業進出補助金を申請する際の事業計画書のポイントを解説します。

記載項目審査員が見るポイント記載のコツ
市場分析ドローン市場の規模と成長性経産省・国交省の統計データ、i-Construction推進状況を引用
競合優位性IT系ドローン会社との差別化建設現場の知見、測量精度管理、安全管理体制を強調
パイロット育成計画資格取得の具体的なスケジュール国家資格の取得計画、研修プログラムの詳細を記載
安全管理体制事故防止の具体策飛行マニュアル、緊急時対応手順、保険加入を明記
収益計画サービス別の売上見込み案件単価×件数で積み上げ。自社工事での活用分も計上

「自社利用+外販」のハイブリッドモデル

J社の計画書で評価が高かったのは、ドローンを「自社の建設工事にも活用しつつ、外部にもサービス提供する」というハイブリッドモデルを示したことです。自社工事でのドローン活用により年間800万円のコスト削減効果があり、これだけで投資回収の一部を担えます。外販分はすべて追加収益となるため、リスクを分散しながら収益を最大化できるモデルです。

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よくある質問(FAQ)

はい、対象になります。建設業(施工業)からドローン測量・点検サービス業への進出は、産業分類が異なるため新規性の要件を満たしやすいです。ただし、「自社工事でのドローン活用」だけでは既存事業の効率化に過ぎず、新事業とは認められません。外部へのサービス提供が新事業の核になります。

産業用ドローンの耐用年数は一般的に3〜5年です。バッテリーは消耗品で、1〜2年で交換が必要です。事業計画書では機材の更新計画も記載し、継続的な投資が可能なキャッシュフロー計画を示してください。

登録講習機関での受講費用は、二等が20〜35万円(最短4日間)、一等が35〜80万円(最短10日間)が目安です。経験者(民間資格保有者)は講習時間が短縮されます。研修費として補助対象になるため、計画書に取得スケジュールと費用を明記してください。

ドローンは風速5m/s以上や雨天では飛行できません。事業計画書では、天候による稼働日数の制限を考慮した収益計画を作成してください。J社は年間稼働日数を200日(実働率65%)で計算しました。また、悪天候時にデータ処理やレポート作成を行うオフィスワーク体制を整えることで、人員の遊休時間を最小化しています。

対人賠償1億円以上、対物賠償5,000万円以上が推奨されます。ドローン専用の保険商品(DJI機体保険、東京海上日動のドローン保険等)があり、年間保険料は機体1台あたり5〜15万円程度です。保険加入は事業計画書にも記載し、安全管理体制の一環として示してください。

はい、建設業の許可とは別に、ドローン飛行に関する許認可が必要です。航空法に基づく飛行許可・承認の申請(DIPS)、機体登録、操縦者の国家資格取得が必要です。測量サービスを提供する場合は測量業者登録も必要になります。

主な維持コストは、バッテリー交換(1台あたり年20〜40万円)、機体メンテナンス(年10〜20万円/台)、ソフトウェアライセンス(年50〜100万円)、保険料(年30〜90万円)です。J社の場合、年間維持コストは約500万円ですが、自社工事での活用によるコスト削減効果(年間800万円)で相殺しています。

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