この記事の結論
新事業進出補助金は、中小企業・中堅企業が新たな事業分野へ進出するための設備投資やシステム構築を国が支援する大型補助金です。2024年度まで実施されていた「事業再構築補助金」の後継制度として、2025年度(令和7年度)に新設されました。
新事業進出補助金とは?制度の全体像をわかりやすく解説
新事業進出補助金は、中小企業・中堅企業が新たな事業分野へ進出するための設備投資やシステム構築を国が支援する大型補助金です。2024年度まで実施されていた「事業再構築補助金」の後継制度として、2025年度(令和7年度)に新設されました。
事業再構築補助金では「コロナ後の経済環境変化への対応」が主眼でしたが、新事業進出補助金では「ポストコロナを見据えた前向きな事業転換・新分野進出」を積極的に後押しする方針へと進化しています。
制度のポイント
新事業進出補助金は「事業再構築補助金の後継」として創設されましたが、要件や審査基準が大幅に刷新されています。事業再構築補助金の経験がある方も、必ず新制度の公募要領を確認してください。
創設の背景:事業再構築補助金からの進化
事業再構築補助金は2021年度から2024年度まで計12回の公募が行われ、累計約15万件の採択実績を持つ大型補助金でした。しかし、以下の課題が指摘されていました。
- 採択率の低下(第10回以降は30%台に低下)
- 口頭審査の導入で申請者の負担増加
- 補助事業終了後の事業継続率に改善の余地
- コロナ関連要件の形骸化
これらの課題を踏まえ、新事業進出補助金では「コロナ要件」を撤廃し、代わりに「新事業進出要件」「付加価値額年率4%向上」「賃上げ要件」など、中長期的な成長を見据えた要件体系に再編成されました。
他の補助金との位置づけ比較
中小企業が活用できる主要補助金の中で、新事業進出補助金は「新分野への大型投資」に特化した位置づけです。
| 補助金名 | 主な用途 | 補助上限 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 新事業進出補助金 | 新分野進出・業態転換 | 9,000万円 | 大型投資、口頭審査あり |
| ものづくり補助金 | 設備投資・生産性向上 | 4,000万円 | 統合予定あり |
| IT導入補助金 | ITツール導入 | 450万円 | ツール選定が容易 |
| 小規模事業者持続化補助金 | 販路開拓 | 250万円 | 小規模事業者限定 |
注目
2026年度には新事業進出補助金とものづくり補助金の統合が検討されています。最新の公募情報はこちらの記事でご確認ください。
対象者:どんな企業が申請できるのか
新事業進出補助金の対象者は、「中小企業者等」および「中堅企業等」です。個人事業主も含まれますが、一定の条件を満たす必要があります。
中小企業者等の定義
中小企業者等とは、中小企業基本法に定める中小企業者に加え、以下の法人・個人を含みます。
| 業種 | 資本金 | 従業員数 |
|---|---|---|
| 製造業・建設業・運輸業 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
資本金または従業員数のいずれか一方を満たせば中小企業に該当します。NPO法人や社会福祉法人なども、一部対象となるケースがあります。
中堅企業等の定義
中堅企業等とは、中小企業の範囲を超えるが、資本金10億円未満の企業を指します。中堅企業は補助率が1/3に下がりますが、補助上限額は中小企業と同額(最大9,000万円)で申請可能です。
注意
大企業(資本金10億円以上)は対象外です。また、「みなし大企業」(大企業の子会社等)も原則として対象外となります。出資比率や役員構成が審査されるため、親会社との関係を事前に確認しておきましょう。
個人事業主の申請条件
個人事業主も申請可能ですが、以下の条件を満たす必要があります。
- 確定申告(青色申告)を直近2期以上行っていること
- 事業の実態があること(副業レベルでは不可)
- GビズIDプライムを取得済みであること
- 申請時点で開業届を提出済みであること
なお、個人事業主の場合も補助率・補助上限額は中小企業と同じ扱いになります。ただし、従業員がいない場合は「賃上げ要件」の適用が異なる点にご注意ください。
補助率と補助上限額:最大9,000万円の支援内容
新事業進出補助金の補助率と補助上限額は、企業規模(中小企業か中堅企業か)と従業員数によって異なります。
| 区分 | 補助率 | 補助上限額 | 補助下限額 |
|---|---|---|---|
| 中小企業(従業員20人以下) | 1/2 | 1,500万円 | 750万円 |
| 中小企業(従業員21〜50人) | 1/2 | 3,000万円 | 750万円 |
| 中小企業(従業員51〜100人) | 1/2 | 5,000万円 | 750万円 |
| 中小企業(従業員101人以上) | 1/2 | 7,000万円 | 750万円 |
| 中堅企業 | 1/3 | 7,000万円〜9,000万円 | 750万円 |
自己負担の目安
中小企業(補助率1/2)の場合、総事業費3,000万円のプロジェクトなら自己負担は1,500万円です。中堅企業(補助率1/3)の場合は同じ総事業費で自己負担が2,000万円となります。資金計画は余裕を持って立てましょう。
さらに、大幅賃上げ特例を活用すれば、補助上限額に最大2,000万円を上乗せすることが可能です。詳しくは該当記事をご覧ください。