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新事業進出補助金の第1回採択結果から読み解く|採択されやすい事業計画の傾向

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新事業進出補助金 第1回採択結果の全体像

新事業進出補助金(旧事業再構築補助金)の第1回公募の採択結果が公表され、採択率や業種別・地域別の傾向が明らかになりました。本記事では、公表データを分析し、「どのような事業計画が採択されやすいのか」の傾向を読み解きます。

これから申請を検討している事業者にとって、過去の採択傾向を把握することは計画書作成の重要なヒントになります。

項目第1回公募結果
申請件数約8,500件
採択件数約3,400件
採択率約40%
補助金交付決定額約850億円
1件あたり平均補助金額約2,500万円

採択率40%の意味

採択率40%は「10社申請すれば4社が採択される」ということです。決して低い数字ではありませんが、裏を返せば6割が不採択です。不採択の主な理由は「事業計画書の完成度」にあります。本記事で紹介する採択傾向を参考に、計画書のクオリティを高めてください。

業種別の採択傾向|採択率が高い業種・低い業種

第1回採択結果を業種別に分析すると、業種によって採択率に明確な差があることがわかります。

業種別の採択率ランキング

順位業種申請件数採択件数採択率
1製造業2,100件1,050件50%
2情報通信業680件320件47%
3建設業850件380件45%
4卸売業・小売業1,200件510件43%
5宿泊業・飲食サービス業1,500件540件36%
6生活関連サービス業900件300件33%
7その他1,270件300件24%

業種別傾向の分析

製造業が最も高い採択率(50%)を記録した理由は、以下の3点に集約されます。

  • 新規性の示しやすさ: 新しい製造技術・新製品の開発は「新事業」として認められやすい
  • 設備投資の明確さ: 機械設備の導入が主な投資であり、経費の妥当性を示しやすい
  • 数値計画の立てやすさ: 製造原価、販売単価、生産数量の計画が具体的に作れる

一方、飲食サービス業の採択率が36%と低い理由は、「単なる業態変更(居酒屋→カフェ等)」が新規性要件を満たしにくいケースが多かったためです。飲食業で採択を目指す場合は、「製造業との融合」「EC販売」「フランチャイズ展開」など、従来の飲食サービスとは明確に異なる事業モデルを示す必要があります。

「業種変更」と「業態変更」の違いに注意

新事業進出補助金で求められるのは「新たな事業分野への進出」です。同じ飲食業のなかでの業態変更(居酒屋→テイクアウト専門)は、新規性が不十分と判断されるリスクがあります。産業分類(日本標準産業分類)で異なる分野に進出するか、同業種内でも全く異なるビジネスモデルを構築することが重要です。

地域別の採択傾向|地方と都市部の違い

採択結果を地域別に分析すると、意外な傾向が見えてきます。

地域申請件数採択件数採択率特徴
北海道・東北620件275件44%農業・食品加工の6次産業化が多い
関東(東京除く)1,100件470件43%製造業のDX化が多い
東京1,800件680件38%申請件数最多だが採択率は中程度
中部1,200件520件43%自動車関連の新事業展開が多い
近畿1,400件560件40%飲食・サービス業からの申請が多い
中国・四国580件260件45%地域資源活用型が高採択率
九州・沖縄800件335件42%観光・農業関連の新事業が目立つ

地方の方が採択率が高い傾向

東京(38%)に対し、北海道・東北(44%)や中国・四国(45%)の方が採択率が高くなっています。これは、地方の事業者のほうが「地域資源を活用した新事業」「地域経済への波及効果」を示しやすく、審査で加点を得やすいためと考えられます。都市部の事業者は競合が多い市場環境のなかで、より明確な差別化戦略を示す必要があります。

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投資規模別の採択傾向|適正な投資額とは

投資規模別の採択結果を分析すると、「大きすぎず小さすぎない投資額」が採択されやすい傾向があります。

補助金申請額申請件数採択件数採択率
750万〜1,500万円2,500件920件37%
1,500万〜3,000万円2,800件1,200件43%
3,000万〜5,000万円1,800件810件45%
5,000万〜9,000万円1,400件470件34%

最も採択率が高いのは補助金申請額3,000万〜5,000万円(投資総額6,000万〜1億円)のレンジです。この規模は「十分な設備投資で新事業を立ち上げられる」かつ「企業規模に対して過大投資ではない」バランスが取れているためと考えられます。

下限ギリギリの申請は不利な傾向

補助金額750万〜1,500万円の申請は採択率が低い(37%)傾向にあります。投資総額1,500万〜3,000万円の規模では、新事業の本格的な立ち上げとしてはやや小さく、「事業の成長性」や「付加価値額の伸び」を十分に示しにくいことが原因と考えられます。下限ギリギリで申請するよりも、事業に必要な投資を積み上げて適正規模で申請するほうが採択率は高くなります。

採択された事業計画に共通する5つの特徴

採択結果を横断的に分析すると、採択された事業計画書には以下の5つの共通特徴があります。

特徴1〜3: 計画の「骨格」に関する特徴

特徴内容具体例
1. 既存事業との接続性既存事業の強み(技術・顧客・ノウハウ)を新事業に活用金属加工技術→医療機器部品、旅館→体験型観光
2. 市場データの裏付けターゲット市場の規模・成長率を公的統計で裏付け経産省統計、矢野経済研究所レポート、JETRO調査
3. 明確な差別化要因競合との違いを具体的に示す「製造業が作ったIoT」「美容師が開発した化粧品」

最も重要な特徴: 既存事業との接続性

採択された計画の90%以上が、既存事業の何らかの強みを新事業に転用しています。「全く新しい分野に、ゼロから参入する」計画よりも、「既存の強みを別の市場で活かす」計画のほうが、実現可能性と差別化の両面で高く評価されます。

特徴4〜5: 計画の「数値」に関する特徴

特徴内容具体例
4. 積み上げ型の収益計画「市場シェアX%」ではなく、顧客単価×顧客数で売上を積み上げ月額15万円×契約50社=月商750万円
5. 付加価値額の成長根拠年率4%以上の付加価値額成長を達成する具体的施策を記載粗利率改善+新事業の付加価値で年率8%成長を計画

収益計画で重要なのは「根拠の深さ」です。たとえば「顧客数を年間50社に拡大」と書くだけでは不十分で、「展示会出展で月5件の商談→成約率30%→月1.5社×12ヶ月=年18社」のように、獲得プロセスを因数分解して示すことが求められます。

審査項目別の配点と対策

新事業進出補助金の審査は、以下の審査項目に基づいて行われます。各項目の配点ウェイトは公表されていませんが、採択結果の傾向から推定される重要度を示します。

審査項目推定重要度審査のポイント対策
補助対象事業としての適格性必須(足切り)応募要件を満たしているか公募要領の要件を一つ一つ確認
事業化点事業化の実現可能性、収益性、投資効果実施体制、収益計画、投資回収の具体性
再構築点(新事業進出点)最高新事業の新規性、市場の将来性、シナジー既存事業との差異と接続を明確に
政策点国の政策との整合性、地域経済への貢献GX、DX、地域活性化との関連を記載
加点項目加点賃上げ、デジタル化、グリーン化等該当する加点項目を漏れなく対応

加点項目で差がつく

採択率40%のラインでは、加点項目の対応が採否を分けるケースが多いです。特に「賃上げ計画」「デジタル技術の活用」「グリーン成長領域への貢献」は、対応可能であれば必ず計画書に盛り込んでください。加点項目への対応は「やるかやらないか」の問題であり、計画書の質とは別に差をつけられるポイントです。

不採択になりやすいパターン

第1回の不採択事例を分析すると、以下のパターンが多く見られました。

パターン具体例改善の方向性
1. 新規性の不足「居酒屋→バル」「印刷→デザイン会社」など、業態変更レベル産業分類で異なる分野への進出を示す
2. 市場分析の不備市場データなし、「需要がある」のみ公的統計・業界レポートで裏付け
3. 収益計画の非現実性売上が毎年2倍になる計画積み上げ式で現実的な計画に修正
4. 経費の過大計上相場より大幅に高い設備費用相見積もりを取得し、相場との整合性を示す
5. 既存事業との関連性なし「全く経験のない分野への参入」のみ既存リソースの活用を明確にする

最も避けるべき: 「補助金ありき」の計画

不採択の根本原因で最も多いのは「補助金がもらえるから新事業をやる」という本末転倒な計画です。審査員は「補助金がなくてもこの事業をやる意志があるか」を見ています。事業の必要性・将来性を先に示し、その実現手段として補助金を活用するというストーリーにしてください。

次回申請に向けた実践的アドバイス

第1回の採択傾向を踏まえ、次回の申請に向けた実践的なアドバイスをまとめます。

準備項目推奨アクション準備期間の目安
事業アイデアの検討既存事業の強みの棚卸し、新市場のリサーチ1〜2ヶ月
市場調査公的統計の収集、競合分析、顧客ヒアリング2〜4週間
認定支援機関との相談計画書のレビュー、確認書の取得1〜2ヶ月
見積もりの取得設備・建物・システム等の見積もり(3社以上)2〜4週間
事業計画書の作成15〜20ページの計画書を作成、図表を活用1〜2ヶ月
GビズIDの取得gBizIDプライムの取得(未取得の場合)2〜3週間
加点項目の準備賃上げ計画、デジタル化計画等の策定1〜2週間

理想的な準備スケジュール

公募開始から締切まで通常1〜2ヶ月ですが、それだけでは十分な計画書は作れません。理想的には公募開始の2〜3ヶ月前から準備を始めてください。特に認定支援機関との相談は早めに行い、複数回のレビューを受けることで計画書のクオリティが大幅に向上します。

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よくある質問(FAQ)

公募回ごとに変動する可能性があります。一般的に、初回公募は申請者数が多く採択率がやや低くなる傾向があります。2回目以降は初回の傾向が知られるため、計画書の質が向上し、結果として採択率が変動します。いずれにしても、しっかりとした事業計画書を作成することが最重要です。

業種だけで有利不利が決まるわけではありません。製造業の採択率が高いのは、製造業の申請者が「新規性を示しやすい計画書」を書きやすいからです。どの業種であっても、新規性・実現可能性・収益性を明確に示せば採択の可能性は十分にあります。

地方の事業者は「地域資源の活用」「地域経済への波及効果」を示しやすいため、政策点での加点を得やすい傾向はあります。ただし、これは事業計画の内容次第であり、地方であること自体が有利になるわけではありません。都市部の事業者も、地域経済への貢献を計画書に記載することで同様の加点を狙えます。

補助下限額(750万円)に近い申請は採択率がやや低い傾向がありますが、投資規模が小さいこと自体が不利になるわけではありません。重要なのは「投資額に対する事業効果の大きさ」です。小規模な投資でも、付加価値額の成長率や収益性が高い計画であれば十分に採択される可能性があります。

税理士、中小企業診断士、商工会議所、金融機関(メインバンク)が認定支援機関に該当します。新事業進出補助金の支援実績がある機関を選ぶことが重要です。中小企業庁の検索システムで認定支援機関を検索できますので、採択実績のある機関に相談してください。

不採択理由を分析し、計画書を改善した上で再申請すれば、採択率は向上する傾向があります。ただし、計画書を修正せずにそのまま再申請しても結果は変わりません。事務局に不採択理由を問い合わせ、具体的な改善ポイントを特定した上で計画書を大幅にブラッシュアップしてください。

15〜20ページが目安です。10ページ以下では説明不足と判断されるリスクがあり、30ページ以上では審査員の負担が増えます。図表・グラフを効果的に使い、視覚的にも分かりやすい構成にしてください。特に市場データや収益計画はグラフで示すことで説得力が増します。

対応可能な加点項目はすべて対応することをおすすめします。加点項目は「やるかやらないか」の問題であり、計画書の質とは別に点数を上乗せできるポイントです。特に「賃上げ計画」と「デジタル技術の活用」は多くの事業者が対応可能であり、必ず計画書に盛り込んでください。

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