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新事業進出補助金の事業計画書の書き方|採択される計画書の構成テンプレート

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新事業進出補助金の事業計画書とは?審査員が見るポイント

新事業進出補助金の採否を決定する最大の要素が「事業計画書」です。補助金額の大きさ(補助上限9,000万円)に見合う精度の高い計画書が求められます。審査員は1件あたり30〜60分程度で審査を行うため、要点が整理され、論理的に一貫した計画書が高評価を得ます。

事業計画書は大きく分けて「補助事業の具体的取組内容」「将来の展望」「会社全体の事業計画」の3つのパートで構成されます。それぞれのパートで審査員が何を確認しているかを理解することが、採択への第一歩です。

審査の基本

新事業進出補助金の審査は書面審査+口頭審査で行われます。事業計画書は書面審査の評価材料であり、ここで高得点を取れなければ口頭審査に進めません。補助率は中小企業1/2、中堅企業1/3で、補助下限額は750万円です。

審査項目と配点の考え方

公募要領で公開されている審査項目は以下の通りです。各項目をバランスよく満たす計画書が求められます。

審査項目確認されるポイント重要度
事業の新規性既存事業との違い、市場における独自性非常に高い
事業の実現可能性技術力・人材・設備の裏付け非常に高い
事業の収益性売上予測の妥当性、付加価値額の成長高い
事業の社会的意義地域経済・雇用への貢献中程度
経費の妥当性投資額と効果のバランス高い
賃上げへの取組給与支給総額・事業場内最低賃金の引上げ計画高い

事業計画書の全体構成テンプレート(10項目)

採択される事業計画書には、一定の「型」があります。以下の10項目の構成に沿って作成すれば、審査項目を漏れなくカバーできます。A4で15〜20ページ程度が標準的なボリュームです。

No.項目名目安ページ数対応する審査項目
1企業概要・沿革1〜2ページ実現可能性
2既存事業の現状分析2〜3ページ新規性・実現可能性
3新事業の概要・背景2〜3ページ新規性・社会的意義
4市場分析・ターゲット2〜3ページ収益性・新規性
5具体的な取組内容3〜4ページ新規性・実現可能性
6実施体制・スケジュール1〜2ページ実現可能性
7経費内訳・資金計画1〜2ページ経費の妥当性
8収益計画・付加価値額1〜2ページ収益性
9賃上げ計画0.5〜1ページ賃上げへの取組
10将来展望・波及効果1〜2ページ社会的意義・収益性

合格ライン

各項目は「具体的な数値」「根拠データ」「図表・写真」を含めて記述してください。抽象的な表現だけの計画書は低評価になります。特に市場分析と収益計画には第三者データ(官公庁統計、業界レポート等)を引用しましょう。

【項目1〜2】企業概要と既存事業の現状分析の書き方

事業計画書の冒頭では、自社の紹介と既存事業の分析を行います。ここで審査員に「この企業は新事業を遂行できる基盤がある」と思わせることが重要です。

企業概要の記載例

企業概要には以下の情報を簡潔にまとめます。会社案内のパンフレットではなく、「新事業遂行能力の証明」として書くことがポイントです。

  • 会社名・所在地・設立年・資本金・従業員数
  • 主要事業と直近3年間の売上推移(グラフ推奨)
  • 保有する技術・設備・資格・許認可
  • これまでの受賞歴・メディア掲載・特許取得状況
  • 組織図(新事業の実施体制との関連を示す)

文例

「当社は創業以来25年間、精密金属加工を主力事業として成長してきた。NC旋盤12台、マシニングセンタ8台を保有し、自動車部品メーカーを中心に年間売上高3.2億円(2025年度)を達成している。ISO9001認証取得済み(2015年〜)であり、品質管理体制は業界水準を上回る。」

既存事業の現状分析(SWOT分析の活用)

既存事業の分析ではSWOT分析が効果的です。特に「脅威(Threat)」と「弱み(Weakness)」を正直に記載し、それが新事業進出の動機につながるストーリーを作ります。

分析要素記載例(金属加工業の場合)
強み(S)高精度加工技術、熟練工の存在、ISO認証
弱み(W)特定顧客への依存度80%、後継者不足
機会(O)医療機器市場の拡大、EV部品需要の増加
脅威(T)海外競合の台頭、主要顧客の内製化方針

SWOT分析の結論として、「既存事業の脅威に対応しつつ、自社の強みを活かせる新事業分野として○○を選定した」という流れにすると、新事業の必然性が伝わります。

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【項目3〜5】新事業の概要・市場分析・具体的取組の書き方

事業計画書の中核となるパートです。「なぜこの新事業なのか」「市場はあるのか」「具体的に何をするのか」を論理的に説明します。

新事業の概要と進出の背景

新事業の説明は「What(何を)」「Why(なぜ)」「How(どうやって)」の3点を明確にします。

  • What: 新事業で提供する製品・サービスの具体的内容
  • Why: 既存事業の課題解決+市場機会への対応
  • How: 自社の強みをどう活かすか(技術の転用・人材の活用等)

よくある失敗

「新事業」の定義が曖昧なケースが多いです。既存事業の延長線上にある取組(既存製品の改良、既存市場での販路拡大等)は「新事業」として認められません。「新たな製品を製造する」「新たな市場に進出する」「新たなサービスを開始する」のいずれかに該当する必要があります。

市場分析・ターゲット顧客の明確化

市場分析は「客観的データ」で語ることが鉄則です。自社の希望的観測ではなく、第三者データに基づいた分析が求められます。

分析項目データソース例記載のポイント
市場規模矢野経済研究所、富士経済、経済産業省統計過去5年間の推移と今後5年間の予測
競合分析帝国データバンク、信用調査レポート主要競合3〜5社の強み・弱み比較
ターゲット顧客顧客ヒアリング結果、アンケートデータペルソナの具体化(業種・規模・課題)
自社の優位性技術比較表、価格比較表競合との差別化ポイントを明示

TAM(Total Addressable Market)→SAM(Serviceable Available Market)→SOM(Serviceable Obtainable Market)のフレームワークで市場を絞り込むと、売上予測の根拠として説得力が増します。

具体的な取組内容の記述方法

具体的な取組内容は、事業計画書で最もページ数を割くべきパートです。設備投資の内容、開発プロセス、製品・サービスの仕様を詳細に記載します。

  • 導入する設備・システムの仕様と選定理由
  • 製品・サービスの開発プロセス(設計→試作→量産の各フェーズ)
  • 品質管理・検査体制の整備計画
  • 販路開拓の具体的アクション(展示会出展、Web集客、代理店契約等)

図表の活用

文字だけの説明は審査員の理解を妨げます。製品の完成イメージ図、工場レイアウト図、業務フロー図、ガントチャートなどの図表を積極的に挿入してください。「百聞は一見に如かず」は事業計画書でも同じです。

【項目6〜8】実施体制・経費計画・収益計画の書き方

事業計画書の後半では、実行面と数値面の計画を示します。「理想論ではなく実行できる計画」であることを審査員に納得させる必要があります。

実施体制・スケジュールの記載

実施体制では、誰が何を担当するのかを明確にします。特に技術的な取組については、担当者の経歴・資格を記載して実現可能性を裏付けます。

  • プロジェクト責任者(役職・氏名・経験年数)
  • 技術担当者のスキル・資格(○○技能検定1級、IT系資格等)
  • 外部パートナー(共同研究先、技術支援機関等)
  • 新規採用計画(必要な人材の要件と採用時期)

スケジュールはガントチャート形式で作成し、マイルストーン(設備導入完了、試作品完成、量産開始等)を明示してください。補助事業期間(通常12〜18ヶ月)内に完了する計画であることが必須です。

経費内訳・資金計画の書き方

経費内訳は9つの経費区分に沿って記載します。各経費項目に「なぜこの金額が必要か」の根拠を添えることが重要です。

経費区分金額(税抜)内容
建物費2,000万円クリーンルーム増設工事
機械装置・システム構築費3,500万円○○加工機2台、検査装置1台
技術導入費200万円△△大学からの技術ライセンス
専門家経費100万円品質管理コンサルタント(10日間)
広告宣伝費200万円Webサイト構築、カタログ制作
合計6,000万円補助金額: 3,000万円(補助率1/2)

資金計画では、自己負担分の調達方法(自己資金、金融機関融資、その他補助金等)も記載します。金融機関からの融資が必要な場合は、事前に相談済みであることを記載すると信頼性が高まります。

収益計画と付加価値額の計算

収益計画は、補助事業終了後3〜5年間の売上・利益の推移を示します。新事業進出補助金では「付加価値額の年率4%以上の成長」が要件です。

年度新事業売上既存事業売上全社売上付加価値額伸び率
1年目2,000万円3.0億円3.2億円1.10億円-
2年目5,000万円3.1億円3.6億円1.20億円+9.1%
3年目8,000万円3.2億円4.0億円1.35億円+12.5%
4年目1.2億円3.3億円4.5億円1.50億円+11.1%
5年目1.5億円3.4億円4.9億円1.65億円+10.0%

付加価値額の定義

付加価値額 = 営業利益 + 人件費 + 減価償却費です。売上が伸びても外注費や材料費の比率が高ければ付加価値額は増えません。計画段階でこの計算式を意識し、粗利益率の高い事業モデルを設計することが重要です。

【項目9〜10】賃上げ計画と将来展望の書き方

事業計画書の最後に記載する賃上げ計画と将来展望は、審査の配点としても重要な位置を占めます。

賃上げ計画の具体的な書き方

新事業進出補助金では、賃上げに関する要件が設定されています。具体的には、給与支給総額の年率平均2%以上の増加と、事業場内最低賃金の引上げが求められます。

  • 現在の給与支給総額と補助事業終了後3年間の計画値
  • 事業場内最低賃金の現状値と計画値
  • 新規採用に伴う人件費増加の計画
  • 既存従業員の昇給計画(ベースアップ・定期昇給の内訳)

加点ポイント

大幅賃上げ(年率4%以上等)を計画に盛り込むと加点対象となります。ただし、実現不可能な計画はペナルティの対象となるため、経営体力に見合った計画を立ててください。

将来展望・波及効果の記載ポイント

将来展望では、新事業が軌道に乗った後の中長期ビジョンと、地域や社会への波及効果を記載します。

  • 5〜10年後の事業規模目標(売上・従業員数・拠点展開)
  • 地域経済への貢献(雇用創出数、地元調達率の向上等)
  • サプライチェーンへの波及効果(地域の協力企業への発注増等)
  • 環境・社会課題の解決への寄与(SDGs関連等)

審査員は「補助金を投入する価値がある事業か」を判断します。自社の利益だけでなく、社会全体へのプラスの影響を具体的に示すことで、高い評価を得られます。

採択率を上げる事業計画書の10の実践テクニック

内容が良くても、表現方法や見せ方で評価が変わります。以下のテクニックを活用して、審査員に「読みやすく・伝わりやすい」計画書を作成してください。

No.テクニック具体的なアクション
1結論ファースト各セクションの冒頭に要点を太字で記載
2数値で語る「大幅に増加」→「前年比35%増」に置き換え
3図表を多用A4 1ページにつき最低1つの図表を配置
4公的データ引用経済産業省・総務省等の統計を引用元と共に記載
5写真の活用現場の写真・製品写真・設備写真を効果的に配置
6審査項目の明示各セクションの冒頭に「対応する審査項目」を記載
7フォント統一本文は10.5〜11pt、見出しは14〜16ptで統一
8余白の確保上下左右20mm以上の余白、行間1.3〜1.5倍
9第三者レビュー社内外の第三者に事前に読んでもらい改善点を収集
10要約ページ冒頭に1ページの「エグゼクティブサマリー」を配置

絶対に避けるべきこと

他社の計画書のコピペ、コンサルタントの定型文そのまま、具体性のない抽象表現の羅列は、審査員にすぐ見抜かれます。自社の言葉で、自社の強みと計画を語ってください。

不採択になりやすい事業計画書の5つの特徴

過去の不採択事例から、共通する問題点を5つ紹介します。自社の計画書に該当する項目がないかチェックしてください。

特徴具体的な問題改善策
1. 新規性が不明確既存事業の拡大にしか見えない新しい製品・市場・技術の要素を明確化
2. 市場分析が希薄「ニーズがある」と書くだけで根拠なし公的統計・アンケート結果等の客観データを添付
3. 数値計画が甘い初年度から黒字、毎年倍増など非現実的保守的シナリオも含めた複数シミュレーションを作成
4. 実施体制が不明誰が何を担当するか書かれていない担当者名・経歴・スキルを具体的に記載
5. ページ数不足5ページ程度で内容が薄い15〜20ページに拡充(ただし水増しは逆効果)

対策のポイント

事業計画書の完成後、上記5項目をチェックリストとして使用してください。1つでも該当する場合は、提出前に修正することを強くおすすめします。認定支援機関に事前レビューを依頼するのも効果的です。

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よくある質問(FAQ)

A4で15〜20ページが標準的です。10ページ以下では内容が薄いと判断されやすく、30ページ以上では審査員の負担が大きくなり要点が伝わりにくくなります。図表を効果的に使って15〜20ページにまとめるのが理想です。

Word(.docx)またはPDF形式で提出するのが一般的です。jGrantsでの電子申請ではPDFアップロードが求められることが多いため、最終的にはPDFに変換してください。PowerPointで作成する方もいますが、文字量が不足しがちなので注意が必要です。

コンサルタントの支援を受けること自体は問題ありません。ただし、丸投げではなく経営者自身が内容を十分に理解している必要があります。口頭審査では経営者本人が質問に答えるため、計画書の内容を説明できないと不採択になるリスクがあります。

はい、新事業進出補助金の申請要件として付加価値額の年率平均4%以上の成長が求められます。計画段階でこの要件を満たす数値計画を作成する必要があります。付加価値額 = 営業利益 + 人件費 + 減価償却費で計算されます。

はい、新事業進出補助金の申請には認定経営革新等支援機関(認定支援機関)の確認書が必要です。認定支援機関は、税理士・中小企業診断士・金融機関などが登録しており、事業計画書の内容を確認した上で確認書を発行します。早めに連携を始めてください。

積極的に入れてください。現場写真、製品イメージ図、工場レイアウト図、業務フロー図、グラフなどの視覚資料は、審査員の理解を助け、計画の具体性をアピールできます。特に「具体的取組内容」のセクションでは図表が不可欠です。

申請自体は可能ですが、「実現可能性」の評価が低くなるリスクがあります。既存事業で培った技術・ノウハウ・顧客基盤を活かせる新事業の方が高い評価を得やすいです。全く新しい分野に進出する場合は、外部パートナーとの連携や専門人材の確保計画を具体的に示してください。

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