口頭審査の概要と合否を分けるポイント
新事業進出補助金では、書面審査を通過した申請者に対して口頭審査(面接審査)が実施されます。口頭審査は、事業計画書の内容を経営者本人が理解・説明できるかを確認するプロセスであり、ここでの評価が最終的な採否を左右します。
口頭審査の結果、書面審査で高得点だった申請者が不採択となるケースも少なくありません。逆に、口頭審査での的確な受け答えが加点となり、ボーダーラインから採択に押し上げられるケースもあります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実施形式 | オンライン(Zoom等のWeb会議) |
| 所要時間 | 15〜20分(質疑応答のみ、プレゼンなし) |
| 審査員 | 2〜3名(中小企業診断士、大学教授等の外部有識者) |
| 対応者 | 代表取締役(経営者本人)が原則 |
| 資料の使用 | 事業計画書は手元に置いてOK |
口頭審査の本質
審査員は「この経営者は本気で新事業に取り組むのか」「計画の内容を自分の言葉で語れるか」を見ています。流暢なプレゼンスキルではなく、事業への熱意と計画への深い理解が求められます。
口頭審査に向けた準備の進め方
口頭審査の通知を受けてから審査当日まで、通常1〜2週間の準備期間があります。以下の手順で準備を進めてください。
準備の5ステップ
| ステップ | 内容 | 所要時間 |
|---|---|---|
| 1. 事業計画書の再読 | 提出した計画書を隅から隅まで読み直す | 2〜3時間 |
| 2. 数値の暗記 | 売上計画、投資額、付加価値額、賃上げ率を暗記 | 1〜2時間 |
| 3. 想定質問リスト作成 | 30問の想定質問と回答案を作成 | 3〜4時間 |
| 4. 模擬面接 | 第三者(認定支援機関等)に質問役を依頼 | 2〜3回×30分 |
| 5. 環境テスト | Web会議ツールの動作確認、通信環境テスト | 30分 |
絶対にやっておくべきこと
模擬面接は必ず実施してください。頭の中では答えられると思っていても、実際に口に出すと上手く説明できないことが多いです。認定支援機関やコンサルタントに模擬面接を依頼するか、社内の幹部に質問役をお願いしましょう。
暗記すべき重要数値リスト
口頭審査では数値に関する質問が多く出ます。以下の数値は即答できるよう暗記してください。
- 総投資額(補助対象経費の合計)と補助金申請額
- 新事業の売上計画(1年目〜5年目の各年度)
- 付加価値額の基準年と計画年度の数値
- 付加価値額の年率平均成長率
- 主要設備の投資額と仕様(機種名・メーカー名含む)
- 新規雇用数と人件費の増加額
- 賃上げ計画の具体的数値(何%アップ、何円アップ)
- 損益分岐点の売上高
- 自己資金と融資の内訳
- 既存事業の売上高と従業員数
口頭審査でよく聞かれる質問20選と回答のコツ
過去の口頭審査で実際に聞かれた質問を分類して紹介します。各質問の意図を理解した上で回答を準備してください。
新規性に関する質問(5問)
| No. | 質問例 | 回答のポイント |
|---|---|---|
| 1 | 既存事業との違いは何ですか? | 製品・サービス・市場の3つの観点から明確に区別する |
| 2 | なぜ今このタイミングで新事業に進出するのですか? | 市場環境の変化(データで裏付け)と自社の準備状況を説明 |
| 3 | 同業他社と比較した優位性は何ですか? | 競合3社との比較表を頭に入れておく |
| 4 | この新事業のどこに独自性がありますか? | 技術的な差別化ポイントまたはビジネスモデルの新しさを説明 |
| 5 | 補助金がなくてもこの事業を行いますか? | 「行う」と明言。補助金は投資の加速要因であることを強調 |
新規性の説明テクニック
「既存事業は○○業ですが、新事業は△△業に進出します」のように、業種・業態の違いを端的に述べた後、技術的・市場的な新規性を補足すると分かりやすくなります。「何が新しいのか」を一言で言えるよう準備してください。
実現可能性に関する質問(5問)
| No. | 質問例 | 回答のポイント |
|---|---|---|
| 6 | 新事業を担当する人材はいますか? | 担当者の経歴・スキルを具体的に説明。不足する場合は採用計画を述べる |
| 7 | 必要な技術やノウハウをどう確保しますか? | 既存技術の転用、外部パートナーとの連携、研修計画を説明 |
| 8 | 販路はどのように開拓しますか? | 具体的な営業活動(展示会、Web、代理店等)とスケジュール |
| 9 | 設備の選定理由を教えてください | なぜそのメーカー・機種なのか、比較検討したプロセスを説明 |
| 10 | 事業のスケジュールは現実的ですか? | マイルストーンごとの具体的な日程と、遅延リスクへの対策を説明 |
収益性・数値計画に関する質問(5問)
| No. | 質問例 | 回答のポイント |
|---|---|---|
| 11 | 売上計画の根拠を教えてください | ターゲット顧客数×単価×購入頻度で分解して説明 |
| 12 | 付加価値額の年率4%成長は達成できますか? | 具体的な施策(売上増・原価改善・人材投資)と数値で説明 |
| 13 | 売上が計画を下回った場合はどうしますか? | 保守的シナリオ(計画の70%等)でも事業継続可能であることを説明 |
| 14 | 資金繰りは問題ありませんか? | 自己資金+融資の調達計画、金融機関との相談状況を説明 |
| 15 | 損益分岐点はいつ達成できますか? | 具体的な時期(○年目の○月)と根拠を即答 |
数字で答えられないと致命的
収益性に関する質問で「だいたい○○くらい」「ちょっと確認しないと...」といった曖昧な回答は、計画への理解不足と判断されます。主要な数値は必ず暗記し、即答できるようにしてください。
リスク対策・賃上げに関する質問(5問)
| No. | 質問例 | 回答のポイント |
|---|---|---|
| 16 | 最大のリスクは何ですか?対策は? | リスクを正直に述べた上で、具体的な対策(代替案・保険等)を説明 |
| 17 | 既存事業への影響はありませんか? | 既存事業と新事業のリソース配分計画を説明 |
| 18 | 賃上げ計画の実現可能性は? | 売上・利益計画と連動した賃上げスケジュールを説明 |
| 19 | 補助事業終了後の計画は? | 中長期ビジョン(5〜10年後の姿)を語る |
| 20 | 地域経済への貢献はありますか? | 雇用創出、地元企業への発注、地域産業への波及効果を具体的に |