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新事業進出補助金の5つの申請要件(新事業進出・付加価値額・賃上げ・最賃・WLB)完全解説

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新事業進出補助金の5つの申請要件とは

新事業進出補助金に申請するためには、以下の5つの要件をすべて満たす必要があります。事業再構築補助金の後継制度として、コロナ関連要件は撤廃された一方で、賃上げやワークライフバランスなど新たな要件が加わりました。

No.要件名概要
1新事業進出要件新たな製品・サービスを生み出す、または提供方法を大幅に変更する取組みであること
2付加価値額要件補助事業終了後3〜5年で付加価値額を年率平均4%以上向上させること
3賃上げ要件事業計画期間内に給与支給総額を年率平均2%以上向上させること
4最低賃金要件事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上とすること
5ワークライフバランス要件WLBに関する取組みを行うこと

重要

5つの要件は「申請時の計画」だけでなく、補助事業終了後の報告期間(3〜5年間)にわたって達成状況がモニタリングされます。計画未達の場合は補助金の一部または全額の返還を求められる可能性があるため、実現可能な計画を策定することが極めて重要です。

【要件1】新事業進出要件:何が「新事業」と認められるか

新事業進出要件は、申請企業が「新たな事業分野に進出する」ことを求める要件です。事業再構築補助金の「事業再構築」の定義を引き継ぎつつ、より明確に整理されています。

新事業進出の3つの類型

新事業進出は以下の3つの類型に分類されます。自社の事業計画がいずれかに該当する必要があります。

  • 新分野展開:新たな製品・サービスを製造・提供する。現在の事業とは異なる市場をターゲットにする取組み。
  • 事業転換:主たる事業を変更する。売上構成比で新事業が最も大きくなることを計画する取組み。
  • 業態転換:製品・サービスの提供方法を大幅に変更する。店舗販売からEC販売への転換などが該当。

具体例

飲食店がテイクアウト専門店に転換(業態転換)、建設会社がリフォーム事業に進出(新分野展開)、小売店がECサイトでの販売に主軸を移す(事業転換)などが代表的な例です。

「新規性」の判定基準

新事業進出として認められるためには、以下の3つの新規性基準をすべて満たす必要があります。

基準内容確認方法
製品等の新規性過去に製造・提供したことがない製品・サービスであること過去の事業内容との比較
市場の新規性既存事業と異なる顧客層・市場をターゲットにしていることターゲット市場の分析
事業内容の相違性既存事業の単なる延長ではなく、事業内容に明確な違いがあること事業計画の記載内容

単に「既存製品を値下げする」「既存サービスの営業エリアを広げる」だけでは新規性は認められません。製品・サービス自体の変革や、新たな市場へのアプローチが必要です。

【要件2】付加価値額要件:年率平均4%以上の計画

付加価値額要件は、補助事業を通じて企業の生産性を向上させることを求める要件です。「付加価値額」とは、営業利益+人件費+減価償却費で計算される金額です。

付加価値額の計算方法

付加価値額は以下の計算式で算出します。

計算式

付加価値額 = 営業利益 + 人件費 + 減価償却費

例えば、現在の付加価値額が5,000万円の企業が3年後に年率平均4%向上を達成するには:

年度付加価値額前年比
現在(基準年)5,000万円-
1年後5,200万円+4%
2年後5,408万円+4%
3年後5,624万円+4%

3年間で約12.5%(年率平均4%の複利)の向上が必要です。この数値は事業計画書に具体的な根拠とともに記載します。

付加価値額向上のポイント

付加価値額を向上させる方法は主に3つあります。

  • 営業利益の増加:新事業による売上増加やコスト削減で営業利益を拡大する
  • 人件費の増加:従業員の賃上げや新規雇用により人件費が増加する(賃上げ要件とも連動)
  • 減価償却費の増加:設備投資により減価償却費が増加する(補助事業の設備投資が直接寄与)

注意

付加価値額の向上は「計画」で記載するだけでなく、補助事業終了後3〜5年間のモニタリング期間に実績が確認されます。楽観的すぎる計画は、未達時に補助金返還リスクとなるため注意してください。

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【要件3】賃上げ要件:給与支給総額を年率平均2%以上向上

賃上げ要件は、補助事業の計画期間内に給与支給総額を年率平均2%以上向上させる計画を策定することを求めます。中小企業の賃上げを国として後押しする政策的な意図が込められています。

給与支給総額の定義と計算

給与支給総額とは、全従業員に支給した給与の合計額です。基本給のほか、賞与・各種手当を含みます。ただし、退職金や福利厚生費は含まれません。

含まれるもの含まれないもの
基本給退職金
時間外手当福利厚生費
賞与法定福利費(社会保険料の事業主負担分)
通勤手当出張旅費
役職手当-

賃上げ要件の特例と緩和措置

以下の場合、賃上げ要件の適用に特例があります。

  • 従業員がいない個人事業主:賃上げ要件は適用されない(将来雇用する場合の計画で代替可能)
  • 赤字企業・業績悪化企業:直近の業績が赤字の場合、賃上げの基準年を調整する緩和措置がある場合あり
  • 新規創業者:創業1年未満の場合は、今後の賃金計画で審査される

アドバイス

賃上げ要件と大幅賃上げ特例は別の制度です。通常の賃上げ要件は「年率平均2%以上」ですが、大幅賃上げ特例では「年率平均6%以上」が求められ、補助上限額の上乗せが可能になります。

【要件4】最低賃金要件:地域別最低賃金+30円以上

最低賃金要件は、事業場内の最低賃金を地域別最低賃金より30円以上高く設定することを求めます。申請時点で要件を満たしている必要があります。

具体例

東京都の地域別最低賃金が1,163円の場合、事業場内最低賃金を1,193円以上に設定する必要があります。パート・アルバイトを含む全従業員の時給が基準以上であることが条件です。

事業場内最低賃金の確認方法

事業場内最低賃金は、以下の手順で確認します。

  • 全従業員の時給を算出する(月給者は「月給÷月間所定労働時間」で計算)
  • 最も低い時給が「地域別最低賃金+30円」以上であることを確認
  • 確認結果を賃金台帳等のエビデンスとして保管する

月給制の従業員の場合、月間所定労働時間を正確に把握しておく必要があります。残業代や深夜手当は時給計算から除外します。

注意

地域別最低賃金は毎年10月頃に改定されます。申請時点では基準を満たしていても、改定後に基準を下回らないよう、余裕を持った賃金設定をしておきましょう。

【要件5】ワークライフバランス要件の具体的な取組み

ワークライフバランス(WLB)要件は、新事業進出補助金で新たに追加された要件です。企業が従業員の働きやすい環境づくりに取り組んでいることを求めます。

WLB要件で認められる取組み

以下の取組みの中から、1つ以上を実施していることが求められます。

取組み内容エビデンス例
女性活躍推進法に基づく認定えるぼし認定の取得認定通知書
次世代育成支援対策推進法に基づく認定くるみん認定の取得認定通知書
若者雇用促進法に基づく認定ユースエール認定の取得認定通知書
一般事業主行動計画の策定・届出次世代法・女活法に基づく行動計画届出受理証
その他WLB関連の取組みテレワーク制度、育児・介護休業制度の拡充等就業規則等

小規模事業者でもクリアしやすい取組み

えるぼし認定やくるみん認定は取得まで時間がかかるため、以下の取組みが現実的です。

  • 一般事業主行動計画の策定・届出:都道府県労働局に届出するだけで比較的簡単にクリア可能
  • テレワーク制度の導入:就業規則にテレワーク勤務規程を追加する
  • 年次有給休暇の取得促進:計画的付与制度を導入し、就業規則に明記する

早めの準備を

一般事業主行動計画の策定・届出は手続き自体は1〜2週間で完了します。公募開始前に準備しておけば、スムーズに申請要件をクリアできます。

申請前の5要件チェックリスト

申請前に以下のチェックリストで5つの要件をすべて確認しましょう。1つでも未達の項目があると申請が受理されません。

要件確認項目チェック
新事業進出要件新分野展開・事業転換・業態転換のいずれかに該当するか
新事業進出要件製品等の新規性・市場の新規性・事業内容の相違性を満たすか
付加価値額要件年率平均4%以上の付加価値額向上計画を策定したか
付加価値額要件計画の根拠(市場分析・売上見通し)を記載したか
賃上げ要件給与支給総額の年率平均2%以上向上計画を策定したか
最低賃金要件事業場内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上か
WLB要件WLB関連の取組みを1つ以上実施しているか

要件の詳細について不明な点がある場合は、認定支援機関や専門家に相談することをおすすめします。制度の詳しい概要は新事業進出補助金2026年版 完全ガイドをご覧ください。

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よくある質問(FAQ)

はい、5つの要件はすべて必須です。1つでも未達の場合は申請が受理されません。特にWLB要件は新設された要件のため見落としがちです。申請前に必ず全要件を確認してください。

付加価値額は「営業利益+人件費+減価償却費」で計算されるため、賃上げ(人件費増加)と設備投資(減価償却費増加)だけでもある程度の向上が見込めます。新事業の売上計画を含めれば年率4%は十分に達成可能な水準です。ただし、楽観的すぎる計画は避けましょう。

認定支援機関に相談することをおすすめします。新規性の判断は事業計画書の記載内容にも左右されるため、書き方次第で認められるケースもあります。また、事務局のQ&Aや過去の採択事例を参考にすることも有効です。

給与支給総額は「全従業員」への支給総額で計算されます。正社員だけでなく、パート・アルバイトを含む全従業員が対象です。特定の従業員だけを賃上げしても、全体の支給総額が年率平均2%以上向上しなければ要件を満たしません。

申請時点で満たしている必要があるほか、補助事業期間中および事後報告期間中も継続して要件を満たす必要があります。毎年の最低賃金改定にも対応できるよう、余裕を持った賃金設定をおすすめします。

必ずしも認定取得は必要ありません。えるぼし・くるみん等の認定取得は加点にもつながるため望ましいですが、一般事業主行動計画の策定・届出や、就業規則でのテレワーク制度の規定など、比較的簡単な取組みでも要件を満たすことができます。

事後報告期間(3〜5年間)に付加価値額や賃上げの計画が達成できなかった場合、補助金の一部返還を求められる可能性があります。ただし、やむを得ない事情(天災・パンデミック等)がある場合は個別に判断されます。無理のない計画を策定することが最も重要です。

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