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介護・福祉事業者の新事業進出補助金2026|介護DX・訪問看護新設・障害福祉参入の採択事例と申請戦略

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この記事の結論

日本の介護・福祉業界は、急速な高齢化に伴いサービス需要が拡大する一方で、深刻な人材不足・報酬単価の低迷・運営コストの上昇という複合的な課題に直面しています。厚生労働省の「介護労働実態調査(2024年度)」によると、介護施設・事業所の約60%が人員不足を訴えており、離職率は14%台と全産業平均を大きく上回っています。

介護・福祉業界の現状と新事業進出が急務となっている背景

日本の介護・福祉業界は、急速な高齢化に伴いサービス需要が拡大する一方で、深刻な人材不足・報酬単価の低迷・運営コストの上昇という複合的な課題に直面しています。厚生労働省の「介護労働実態調査(2024年度)」によると、介護施設・事業所の約60%が人員不足を訴えており、離職率は14%台と全産業平均を大きく上回っています。

こうした構造的な課題を打開する手段として注目されているのが、新事業進出補助金を活用した事業の多角化・デジタル化です。介護事業者が培ってきた利用者との信頼関係・地域ネットワーク・ケアノウハウを活かし、隣接する福祉分野や医療関連サービス、介護テクノロジー分野に踏み出すことで、収益源を多角化しつつ既存事業の質を底上げすることが可能になります。

介護・福祉業界が新事業進出を求められる5つの構造変化(2026年版)

  • 介護人材不足の深刻化:2025年時点で介護職員の需要は約245万人に対し供給は約220万人。2040年には最大69万人の不足が見込まれる(厚生労働省推計)。DXによる省力化なしに事業維持が困難な段階に突入しています。
  • 介護報酬改定による収益圧迫:2024年度改定で全体プラス改定となりましたが、事業所規模・サービス種別によって明暗が分かれています。収益多角化なしに単体の介護報酬のみに依存するリスクが高まっています。
  • ICT・AI活用の必要性と初期投資の重さ:電子記録義務化・見守りセンサー普及・ケアプランAIの台頭で、デジタル化投資は避けられません。しかし初期費用は小規模事業者には重く、補助金活用が現実的な選択肢です。
  • 訪問介護の収益低下と訪問看護・障害福祉分野のニーズ拡大:訪問介護報酬は2024年改定で一部減額となった一方、訪問看護・障害福祉(就労継続支援・グループホーム)は需要増・報酬増の傾向にあり、参入余地が大きい状況です。
  • 事業承継と新事業の組み合わせによる経営革新:介護事業所の後継者問題は深刻で、承継を機に新事業(デイサービスと障害福祉の複合型・地域密着型の複合ケア)へ転換するケースが増加しています。

介護・福祉事業者が選ぶ新事業進出の方向性:採択されやすいパターン

新事業進出補助金における介護・福祉系の採択事例(過去の事業再構築補助金・新事業進出補助金の採択データをもとに構成)を見ると、以下の転換パターンが評価されやすい傾向があります。

転換パターン 具体例 補助金との親和性 準備期間の目安
訪問介護から訪問看護への参入 訪問介護事業所が訪問看護ステーションを新設。看護師確保と医療連携体制の整備に活用 高(異なる資格・制度・市場への進出) 4〜6ヶ月
通所介護から障害福祉サービスへ デイサービス事業者が就労継続支援B型・グループホームを新設。既存施設・スタッフを活用 高(法制度・報酬体系が異なる新分野) 3〜5ヶ月
介護施設での介護DX・AI見守り新設 既存施設にAI見守りセンサー・電子記録システムを導入し「DX推進型介護」として新サービス化・他施設へのSaaS展開 中〜高(新技術×新収益モデルが条件) 2〜4ヶ月
地域密着型の複合ケアサービス 訪問介護+訪問看護+障害福祉の複合型事業所(新設部門)。地域包括ケアの核となる事業モデル 高(複数の新規事業・新市場への進出) 4〜8ヶ月
介護からリハビリ・フィットネス事業へ 通所リハビリ(デイケア)または自費フィットネス(介護予防特化型ジム)への参入 中(自費市場への進出・新規顧客層が条件) 3〜5ヶ月
介護知識を活かした研修・コンサル事業 介護事業者向け研修プログラム開発・他事業所へのDX導入コンサルサービスの新展開 中(B2Bの新収益モデル・明確な市場が条件) 2〜3ヶ月

出典:中小企業基盤整備機構「新事業進出補助金」公募要領(第4回・2026年)、中小企業庁「事業再構築補助金採択事例集」をもとに構成。モデルケースとして整理したものです。

介護・福祉業界が補助金申請で陥りやすい3つの落とし穴

介護・福祉事業者が補助金申請で失敗しやすいポイント

  • 「ICT導入のみ」では新事業進出と認められない:既存の介護サービスをデジタル化・効率化するだけでは「既存事業の延長」と判断されます。「介護ICTを活用した他施設向けサービス展開」「自費リハビリ市場への新規参入」など、明確に異なる市場・収益モデルへの進出が必要です。
  • 補助下限額750万円の壁:新事業進出補助金の補助対象経費は最低750万円の投資計画が必要です(補助下限額750万円のため、補助率1/2で総投資額1,500万円以上が目安)。小規模事業所の場合、日本政策金融公庫の融資と組み合わせた資金計画が重要です。
  • 許認可・資格要件の確認を後回しにしがち:訪問看護ステーション新設・障害福祉サービス参入には、それぞれ行政への指定申請と専門職(看護師・社会福祉士・精神保健福祉士等)の確保が前提です。補助金申請前にこれらの要件確認と人材採用計画の立案が必要です。

これらの課題を乗り越えるには、事業計画書において「既存の介護サービスとの違い」「新しい顧客・市場」「具体的な収益計画」を三位一体で示すことが重要です。認定支援機関(中小企業診断士・社会保険労務士・行政書士)との早期連携が採択率を大きく左右します。

新事業進出補助金の制度概要(2026年・第4回公募)介護・福祉版

新事業進出補助金(正式名称:中小企業新事業進出促進補助金・運営:中小企業基盤整備機構)は、2024年度に終了した「事業再構築補助金」の後継制度として2024年秋に創設されました。介護・福祉事業者を含む中小企業・小規模事業者・個人事業主が新規事業へ進出するために必要な設備投資・システム構築・専門家活用・広告宣伝費用に対し、最大9,000万円まで補助を受けられます。

補助率・補助上限額・申請要件の早見表(第4回・2026年)

従業員数 補助上限額(通常) 補助上限額(賃上げ特例) 補助率 介護・福祉での典型的な活用例
20人以下 2,500万円 3,750万円 1/2(特例2/3) 訪問看護ステーション新設・障害福祉グループホーム開設・AI見守りシステム導入
21〜50人 4,000万円 6,000万円 1/2(特例2/3) 複合型デイサービス+障害福祉の新設・地域包括ケアセンターへの転換
51〜100人 5,500万円 8,250万円 1/2(特例2/3) 大規模介護施設のDX化+他事業者向けSaaSビジネス展開
101人以上 7,000万円 最大9,000万円 1/2(特例2/3) 介護事業グループによる新規福祉事業部門立ち上げ・大型施設整備

補助下限額は750万円(投資総額750万円以上が申請条件)。補助対象外経費や上乗せ要件の詳細は最新の公募要領でご確認ください。

第4回公募の基本要件(2026年版)

  • 新事業進出要件:既存の介護・福祉事業とは「製品・サービスの種類」または「対象市場・顧客層」が異なる新規事業への進出であること
  • 付加価値額要件:補助事業終了後3〜5年で付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)の年平均成長率が4.0%以上増加する見込みがあること
  • 賃上げ要件:一人当たり給与支給総額の年平均成長率を3.5%以上増加させること(第4回より引き上げ)
  • 最低賃金要件:補助事業実施期間中および終了後、事業所所在地の都道府県別最低賃金+30円以上の賃金を支払うこと
  • 行動計画要件:次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定・公表していること

出典:中小企業基盤整備機構「中小企業新事業進出促進補助金 公募要領(第4回)」(2026年3月27日公開)。最新情報は必ず公式ポータルでご確認ください。

介護・福祉事業者が補助を受けられる主な経費

新事業進出補助金では、新規事業のために必要な多岐にわたる経費が補助対象となります。介護・福祉事業者が活用しやすい経費カテゴリを整理します。

経費区分 介護・福祉での具体例 補助対象
機械装置・システム構築費 AI見守りセンサー・電子記録端末・ナースコールシステム・介護ロボット・ケアプランAIシステム 対象
建物費(一部) 訪問看護ステーション設置のための内装改修、障害福祉グループホーム整備(上限あり) 要件あり・要確認
専門家経費 中小企業診断士・行政書士・社会保険労務士への申請支援費、研修設計コンサル費用 対象(上限あり)
研修・人材育成費 新事業担当者の資格取得研修費(訪問看護・障害福祉の専門研修) 対象(一定条件下)
広告宣伝・販売促進費 新規サービス(訪問看護・障害福祉)の地域向けチラシ・Web広告・ホームページ制作 対象(上限あり)
クラウドサービス費 介護記録クラウドシステム・シフト管理SaaS・ICT介護ツールの初年度導入費用 対象(補助事業実施期間内)

補助対象外経費に注意

  • 交付決定通知の前に発注・契約した経費(最も多い失敗)
  • 単純な維持・修繕費、既存設備の更新のみ(新規性なし)
  • 既存サービスの利用者向け費用(介護報酬請求対象の費用)
  • 土地の取得費用
  • 汎用品(通常の事務用PC・タブレット単体等)

申請前に必ず認定支援機関または公式公募要領でご確認ください。

第4回公募の制度変更点:介護・福祉事業者が必ず確認すべき改定ポイント

第4回公募(2026年3月27日〜6月19日)は現行制度の最終回となる見通しです。第3回公募から複数の重要な変更が加えられており、介護・福祉事業者として次の申請に向けた準備にも直結する変更点を正確に把握しておくことが重要です。

第3回から第4回への主な変更点一覧(介護・福祉への影響つき)

変更項目 第3回公募 第4回公募(最新) 介護・福祉への影響
賃上げ要件 一人当たり給与年平均3%以上増(目安) 一人当たり給与支給総額年平均3.5%以上増(厳格化) 介護業界は人材確保のため賃上げが急務であり、この要件は比較的満たしやすい。ただし数値根拠の記載が必須
付加価値額要件 年平均4%以上増 年平均4%以上増(継続) 変更なし。新事業(訪問看護・障害福祉)の売上成長計画で達成目標を示す
補助率特例(地域別最低賃金引上げ) 大幅賃上げ特例:補助率2/3 地域別最低賃金引上げ特例:補助率2/3(継続・条件詳細は公募要領) 介護業界は最低賃金引上げ対応が課題であり、特例要件との親和性が高い
加点項目 パートナーシップ構築宣言・DX認定等 加点項目の調整(公募要領で確認要) 介護DX・地域包括ケア連携・障害者雇用促進関連の加点が活用しやすい
補助下限額 750万円 750万円(継続) 変更なし。小規模介護事業所は融資と組み合わせた資金計画が必要
事業実施期間 交付決定日から14ヶ月以内 交付決定日から14ヶ月以内(継続) 訪問看護ステーション新設など指定申請を伴う場合は余裕を持ったスケジューリングが必要

※上記は公開情報をもとに整理したものです。最新の公募要領は中小企業基盤整備機構の公式ポータルでご確認ください。

2026年度後半の統合制度「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」への移行

第4回公募は現行の「中小企業新事業進出促進補助金」としての最終回と位置づけられています。2026年度後半(6月頃公募開始予定)には、ものづくり補助金との統合により「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(仮称)」として再編される見通しです。

統合後の新制度の概要(2026年度予定)

  • 統合制度名(仮称):新事業進出・ものづくり商業サービス補助金
  • 予算規模:約2,960億円(大型の枠組み)
  • 申請枠:高付加価値化枠・新事業進出枠・グローバル枠の3枠構成(予定)
  • 公募スケジュール:令和8年6月頃より公募開始・年度内3回程度予定
  • 採択予定件数:各回合計約6,000件(予定)
  • 介護・福祉の活用可否:新事業進出枠は引き続き業種を問わず対象となる見通し(詳細は公募要領公開後に確認要)

出典:中小企業庁・中小企業基盤整備機構の公開情報をもとに構成(2026年6月時点)。詳細は公式サイトで随時更新されます。

統合制度への移行に備えて、今からGビズIDプライムの取得・認定支援機関との連携・事業計画の骨子づくりを進めておくことが、次の公募で早期採択を狙う上で最も有効な準備となります。

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介護・福祉の業種別採択事例モデル(新事業進出補助金・2026年版)

介護・福祉事業者が新事業進出補助金で採択された事例の類型を、事業計画書の書き方のヒントとともに紹介します。下記はあくまでモデルケースであり、実際の採択事例とは異なります。事業計画書作成の参考としてご活用ください。

採択モデル事例①:訪問介護事業所による訪問看護ステーション新設

事業概要

  • 事業者:従業員18名の訪問介護事業所(東北地方・小規模事業者)
  • 既存事業:訪問介護(ホームヘルプサービス)
  • 新規事業:訪問看護ステーションの新設(介護保険・医療保険両対応)
  • 補助対象経費(想定):看護師採用・研修費、看護記録システム導入費、訪問看護専用車両・医療機器、広告宣伝費 合計約2,100万円
  • 補助額(想定):約1,050万円(補助率1/2)
  • 採択のポイント:訪問介護と訪問看護は提供するサービス・資格・報酬体系・対象者が異なる「新規事業」として明確。地域の看護師不足・医療ニーズの高まりを市場データで裏付け

このモデルケースの成功要因は、「既存の訪問介護の利用者ネットワーク・地域連携」という強みを活かしながら、介護保険と医療保険の両方に対応できるサービスへ展開し、収益の多様化と付加価値向上を実現している点です。地域包括ケアシステムの中核を担う事業者への成長ストーリーを事業計画書に描くことが採択につながります。

採択モデル事例②:通所介護(デイサービス)から障害福祉・就労継続支援B型への参入

事業概要

  • 事業者:従業員32名の通所介護事業所(関東圏・中規模)
  • 既存事業:通所介護(デイサービス)
  • 新規事業:既存施設の一部を活用した就労継続支援B型事業所の新設(土日稼働・異なる利用者層)
  • 補助対象経費(想定):就労支援専用設備・作業用機材、支援員採用・育成費、指定申請コンサルタント費用、システム導入費 合計約1,800万円
  • 補助額(想定):約900万円(補助率1/2)
  • 採択のポイント:介護保険と障害福祉は異なる法制度・報酬体系・対象者を持つ完全に別の事業。地域の障害者就労ニーズと行政データをもとに「3年後の利用者数・売上目標」を具体的に数値化した

就労継続支援B型は、障害のある方の就労・社会参加を支援する障害福祉サービスで、デイサービスとは対象者・制度・報酬が全く異なるため、「新事業進出要件」を満たしやすい典型例です。施設・スタッフの一部共用でコストを抑えながら、新規事業の採算性を早期に確保するモデルとして有効です。

採択モデル事例③:介護施設のAI見守り・DXサービスの他施設向け展開

事業概要

  • 事業者:従業員65名の特別養護老人ホーム運営法人(中部地方)
  • 既存事業:特別養護老人ホーム(入所定員70名)
  • 新規事業:自施設に導入したAI見守りシステム・電子記録SaaS・シフト管理AIの他介護事業者向けコンサル・導入支援サービス(B2B新規事業)
  • 補助対象経費(想定):AI見守りシステム構築費、介護DXサービスのプラットフォーム開発費、専任スタッフ採用・育成費、営業ツール・Web広告費 合計約3,200万円
  • 補助額(想定):約1,600万円(補助率1/2)
  • 採択のポイント:自施設での成功体験を商品化し、「B2B介護DXコンサル」という全く新しい収益モデルを創出。既存の入所者向け介護サービス(B2C)とは顧客・収益モデルが明確に異なる点を強調

このモデルケースで重要なのは、「自施設のDX化」だけでは新事業進出に当たらないが、「他事業所への展開・サービス販売」という新たな市場・収益モデルへの進出として組み立てると要件を満たせる点です。介護事業者の中でDX先進事例を持つ法人に適したアプローチです。

採択モデル事例④:介護事業者による自費リハビリ・介護予防フィットネス参入

事業概要

  • 事業者:従業員12名の通所リハビリ(デイケア)運営クリニック(近畿地方)
  • 既存事業:通所リハビリテーション(介護保険)
  • 新規事業:自費型の介護予防フィットネス・健康増進スタジオの新設(介護保険適用外・60代以上の「まだ要介護でない層」をターゲット)
  • 補助対象経費(想定):フィットネス機器・リハビリ専用機器、施設改修費(一部)、健康管理アプリ開発費、広告宣伝費 合計約1,500万円
  • 補助額(想定):約750万円(補助率1/2)
  • 採択のポイント:介護保険外の自費市場(予防ヘルスケア)への進出で、顧客層・収益モデル・価格体系がすべて異なる。高齢者の健康寿命延伸という社会的意義を定量的に示した

自費リハビリ・介護予防フィットネスは、介護保険に依存しない新収益源として注目度が高まっています。介護保険外の自費サービスは事業者が自由に料金設定できるため、収益性・付加価値額の向上が見込みやすく、補助金要件の「付加価値額4%増」を達成しやすい新事業の方向性です。

事業計画書の書き方:介護・福祉事業者が採択を勝ち取るための5つのポイント

新事業進出補助金の採択を左右するのは、事業計画書の質です。介護・福祉事業者が採択率を高めるために特に意識すべき5つのポイントを解説します。

ポイント①「新規性」の証明:既存の介護事業との違いを明確に

新事業進出補助金の最重要要件は「新規性」です。介護・福祉の場合、審査員に「これは既存事業の単純拡大ではなく、新しい市場・顧客・収益モデルへの挑戦である」と明確に伝えなければなりません。

観点 既存事業(例:訪問介護) 新規事業(例:訪問看護) 違いの記述方法
提供サービス 日常生活支援(身体介護・生活援助) 医療的ケア(点滴・創傷管理・バイタル管理) 資格・医療行為の違いを具体的に記載
対象顧客 要介護認定者(介護保険) 要介護認定者+医療保険対象者(難病・精神科等) 介護保険と医療保険の利用者層の違いを示す
収益モデル 介護報酬(介護保険) 介護報酬+診療報酬(医療保険) 報酬体系・単価の違いを数値で記載
必要資格・許認可 介護福祉士・ヘルパー 看護師・准看護師(都道府県指定が別途必要) 行政指定申請プロセスの違いを明示

ポイント②「市場調査」:地域の需要データを一次情報で示す

事業計画書に説得力を持たせるには、地域の介護・福祉需要に関する具体的なデータが必要です。以下のデータソースを活用して、新事業の市場性を裏付けましょう。

  • 地域ケア会議・地域包括支援センターのデータ:市区町村が公表している要介護認定率・高齢化率・在宅医療ニーズに関する統計(介護保険事業計画)
  • 厚生労働省の介護保険事業状況報告:都道府県・市区町村別の介護サービス利用状況・事業所数・待機者数
  • 障害福祉計画:各市区町村の障害福祉計画で、就労支援・グループホームの必要量と現状を確認
  • 自社の問い合わせデータ・既存顧客の声:「訪問看護を求める声がある」「障害のある家族の支援を求める問い合わせが来た」などの具体的な需要実績

市場調査で採択率が上がる記述例

「当市における訪問看護ステーション数は○ヶ所(市公表・2025年度介護保険事業計画)に対し、潜在的な需要は推定○名(市高齢化率×在宅医療ニーズ率)であり、供給が需要を下回る状況が続いています。当社の訪問介護利用者のうち、過去1年間に訪問看護への移行・並行利用を希望した方は○名に上ります。」という形で、行政データと自社データを組み合わせると説得力が高まります。

ポイント③「財務計画」:付加価値額4%増・賃上げ3.5%増の数値根拠

新事業進出補助金では、補助事業終了後3〜5年の計画期間において「付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)の年平均成長率4%以上」と「一人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上」を達成する見込みを示す必要があります。

介護・福祉事業者の財務計画シミュレーション例(モデルケース)

  • 現在の付加価値額:4,800万円(訪問介護事業単体・従業員18名)
  • 新規事業(訪問看護)の売上見込み:1年目700万円、2年目1,500万円、3年目2,200万円
  • 3年後の付加価値額見込み:6,100万円(年平均成長率約8.3%・要件4%を大きく超過)
  • 賃上げ計画:新規看護師採用に伴い既存スタッフの賃金も段階的に引き上げ。1年目+3.5%、2年目+3.7%、3年目+4.0%

※上記はモデルケースです。実際の数値は事業規模・業態・地域によって異なります。

財務計画の作成では、介護報酬の改定リスク・人件費上昇・稼働率の立ち上がり期の赤字を織り込んだ保守的な計画を示すことが、審査員からの信頼を得る上で重要です。過度に楽観的な数値は採択率を下げる要因となります。

ポイント④「実施体制」:許認可・人材確保の具体的なロードマップ

介護・福祉の新規事業では、許認可申請と人材確保が事業実施の前提となります。事業計画書にこれらの具体的なロードマップを盛り込むことで、審査員に「実現可能性が高い」と評価されます。

新規事業の種別 必要な許認可・指定 必要な専門職 申請から指定まで(目安)
訪問看護ステーション 都道府県知事の指定(指定居宅サービス) 常勤換算2.5人以上の看護職員 2〜4ヶ月
就労継続支援B型 都道府県知事(または指定都市・中核市)の指定 サービス管理責任者・職業指導員・生活支援員 3〜6ヶ月
共同生活援助(グループホーム) 都道府県知事等の指定(障害者総合支援法) 世話人・生活支援員・管理者・サービス管理責任者 4〜8ヶ月
自費リハビリ・フィットネス 原則指定不要(業態による) 理学療法士・作業療法士・健康運動指導士等(望ましい) 設備工事期間(1〜3ヶ月)

事業計画書には「採択後のタイムライン(月次スケジュール)」を図示することを強くお勧めします。許認可申請・人材採用・設備導入・開業・稼働率向上の流れを具体的に示すと、審査員の評価が高まります。

ポイント⑤「加点項目」:介護・福祉事業者が活用できる加点要素

新事業進出補助金では、基本要件に加えて加点項目を積み上げることで採択率が上がります。介護・福祉事業者が取り組みやすい加点項目は以下の通りです。

  • パートナーシップ構築宣言:内閣府「パートナーシップ構築宣言」ポータルサイトへの宣言登録(無料・オンラインで申請可)
  • DX認定事業者:経済産業省「DX認定制度」への申請・認定取得(DX推進に積極的な姿勢を示せる)
  • 賃上げ加点:現行の賃上げ要件を上回る水準の賃金引上げ計画(介護業界は人材確保のため積極的な賃上げを示しやすい)
  • 脱炭素・グリーン関連:介護施設の省エネ改修・EV車両導入計画がある場合に有効
  • 地域貢献・社会的意義:訪問看護の医療空白地域対応・障害者就労支援の社会的インパクトを数値で示す

申請前チェックリスト(介護・福祉事業者向け)

  • GビズIDプライムの取得が完了している(取得まで2〜3週間かかるため先行取得を)
  • 新事業の許認可要件・必要専門職を行政窓口で確認済み
  • 認定支援機関(中小企業診断士・行政書士・商工会等)との相談が完了している
  • 補助対象経費の見積書を複数業者から取得済み(機器・システム・工事等)
  • 地域の需要データ(行政の介護保険事業計画・障害福祉計画等)を入手済み
  • 3〜5年間の財務計画(収支・付加価値額・賃上げ計画)の草案を作成済み
  • パートナーシップ構築宣言等の加点項目対応を検討済み
  • 交付決定通知を受ける前に設備発注・工事着工をしない認識が全員に共有されている

介護・福祉事業者の新事業進出補助金申請手順と相談窓口

新事業進出補助金の申請から採択・入金までのプロセスは複数のステップに分かれており、準備不足のまま進めると失敗につながります。特に介護・福祉の新規事業は許認可が伴うため、補助金の手続きと並行して行政との調整も必要です。

申請から入金までの全ステップ

ステップ 内容 目安期間 介護・福祉事業者の注意点
Step 1 GビズIDプライムの取得 2〜3週間 法人番号・印鑑証明が必要。申請開始と同時に着手
Step 2 認定支援機関への相談・確認書取得 2〜4週間 商工会・商工会議所・中小企業診断士・よろず支援拠点へ。無料相談あり
Step 3 事業計画書の作成・見積書取得 1〜3ヶ月 許認可調査・人材採用計画・財務計画を並行して作成
Step 4 Jグランツ(GビズIDでログイン)から電子申請 公募期間内 締切直前は混雑。余裕を持って提出
Step 5 採択審査・採択発表 申請後3〜4ヶ月 採択通知を待つ間に人材採用の内定・施設改修の設計準備は可能(発注は不可)
Step 6 交付申請・交付決定 採択から1〜2ヶ月 交付決定後に初めて発注・契約可能(これ以前の着工は補助対象外)
Step 7 補助事業の実施(設備導入・開業) 交付決定から14ヶ月以内 訪問看護・障害福祉の指定申請と並行して進める。期限厳守
Step 8 実績報告・確定検査・補助金入金 補助事業終了後2〜3ヶ月 領収書・納品書・写真など証憑書類を完全保管しておく

補助金の入金は後払いのため、設備導入・施設改修・人材採用にかかる費用はいったん自己資金または融資(日本政策金融公庫・信用金庫等)で立て替える必要があります。補助金申請と同時に金融機関への融資相談を進めることを強くお勧めします。

介護・福祉事業者が利用できる無料相談窓口一覧

相談窓口 特徴 費用 アクセス方法
商工会・商工会議所 地域密着型の経営相談。認定支援機関として補助金確認書の作成も対応 無料(一部有料サービスあり) 自社の所在地域の商工会・商工会議所へ直接連絡
よろず支援拠点 国が設置する無料の中小企業支援機関。補助金申請相談に精通したコーディネーターが対応 無料 中小企業庁サイトから全国の拠点を検索
中小企業診断士 補助金申請の専門家。事業計画書の作成支援から採択後の管理まで対応可能 有料(初回相談無料の事務所あり) 中小企業診断士協会のWebサイトから検索
都道府県・市区町村の中小企業支援窓口 自治体独自の補助金情報も提供。新事業進出補助金以外の上乗せ補助の情報も入手できる 無料 各自治体の産業振興・中小企業支援担当窓口へ
中小企業基盤整備機構(運営事務局) 新事業進出補助金の制度・申請方法に関する公式の問い合わせ窓口 無料 公式ポータルサイトのお問い合わせフォームまたは電話

新事業進出補助金と介護・福祉事業者が活用できる他の補助金との比較

新事業進出補助金以外にも、介護・福祉事業者が活用できる補助金・支援制度は複数存在します。目的・状況に応じて最適な制度を選ぶことが重要です。

補助金・制度名 主な目的 補助率・上限(目安) 介護・福祉への適用性 特記事項
新事業進出補助金 新規事業への進出・業態転換 1/2〜2/3・最大9,000万円 高(訪問看護新設・障害福祉参入・DX新事業等) 補助下限750万円・現行制度は第4回で終了
介護テクノロジー導入支援事業 介護ロボット・ICT機器の導入 最大3/4・パッケージ型最大1,000万円 最高(介護施設のICT化に特化) 都道府県実施。令和8年度(2026年度)も実施中
IT導入補助金 業務効率化ツールのIT化 1/2〜3/4・最大450万円 中(介護記録ソフト・シフト管理SaaS等) 登録ソフトウェアのみ対象。毎年公募
業務改善助成金 最低賃金引上げに伴う設備投資支援 3/4〜9/10・最大600万円 高(賃上げと設備投資を同時に行う介護事業者向け) 厚生労働省管轄。毎年12月末締切が多い
人材確保等支援助成金 人材育成・定着のための費用支援 助成額は条件次第 中(介護人材の研修・育成に活用) 厚生労働省管轄。継続的に公募

新事業進出補助金は「新規事業への大型投資」を支援する制度であり、「既存の介護事業のICT化・省力化」には介護テクノロジー導入支援事業やIT導入補助金の方が適している場合があります。目的に合わせた使い分けが重要です。また、複数の補助金を適切な条件のもとで併用できる場合もあるため、認定支援機関や補助金事務局に確認することをお勧めします。

まとめ:介護・福祉事業者が新事業進出補助金で採択されるための行動計画

介護・福祉事業者が新事業進出補助金を活用して採択されるためのポイントをまとめます。第4回(2026年6月19日締切・申請受付終了)は終了しましたが、次の統合制度に向けて今から準備を進めることが採択率向上の最短ルートです。

  1. GビズIDプライムを今すぐ取得する:取得に2〜3週間かかります。次の公募(統合制度)に向けて先行取得が必須です。マイナンバーカードがあれば即日〜翌日完了のオンライン申請も可能。
  2. 「新規事業」の方向性を決める:訪問看護新設・障害福祉参入・自費リハビリ・介護DX新事業の中から、自社の強み・地域ニーズ・投資規模に合ったものを選ぶ。
  3. 許認可要件を行政窓口で確認する:都道府県の福祉担当窓口・指定申請担当に必要な書類・要件・スケジュールを事前確認する。
  4. 認定支援機関に相談する:商工会・よろず支援拠点・中小企業診断士への早期相談が採択率を大きく引き上げます。事業計画書の質が採否を決める最重要因子です。
  5. 市場調査データを集める:厚生労働省の介護保険事業状況報告・市区町村の介護保険事業計画・障害福祉計画から地域の需要データを取得する。
  6. 財務計画を先に組む:補助金は後払いのため、融資(日本政策金融公庫・信用金庫)との組み合わせを金融機関と事前相談する。付加価値額4%増・賃上げ3.5%増の数値根拠を先に固める。
  7. 交付決定前は発注しない:これが最も多い失敗パターン。補助金の採択・交付決定通知を受け取るまで、設備発注・工事着工・採用契約の締結は原則として行わない(見積書の取得はOK)。

次のステップ:今すぐできる行動

新事業進出補助金(統合制度)の次回公募に備えて、まずは中小企業基盤整備機構の公式ポータル(shinjigyou-shinshutsu.smrj.go.jp)をブックマークし、GビズIDプライムの取得手続きを開始しましょう。最新の公募要領・スケジュールは中小企業庁(chusho.meti.go.jp)でも随時公開されています。介護・福祉事業者向けの専門的な相談は、最寄りの商工会・商工会議所またはよろず支援拠点でお気軽にどうぞ。

よくある質問(FAQ)

Aはい、介護・福祉事業者(社会福祉法人・医療法人・NPO法人・株式会社・個人事業主等)は新事業進出補助金の対象となります。ただし、中小企業・小規模事業者の要件を満たす必要があります。補助率は1/2(地域別最低賃金引上げ特例適用時2/3)、補助上限は最大9,000万円(賃上げ特例込み)です。「既存の介護サービスとは異なる新規事業」への進出が要件のため、単純な事業拡大は対象外です。詳細は最新の公募要領でご確認ください。
A訪問介護と訪問看護は、提供するサービスの内容(生活支援vs医療的ケア)・必要資格(介護福祉士等vs看護師)・適用法制度・報酬体系(介護保険vs介護保険+医療保険)・対象利用者が異なるため、「新規事業への進出」として認められる可能性があります。ただし審査は事業内容の具体性や新規性の説明で判断されるため、事業計画書に「既存事業との違い」を明確に記載することが重要です。認定支援機関への相談を強くお勧めします。
A社会福祉法人は「中小企業・小規模事業者」の範囲に該当しないケースがあるため、申請資格については公式の公募要領または中小企業基盤整備機構の問い合わせ窓口で必ず確認してください。一般的に、NPO法人・医療法人・一般社団法人の場合も同様に、申請資格の確認が必要です。事前の確認なく申請を進めると失格となる可能性があります。
AAI見守りシステムの「導入自体」は既存の介護サービスの効率化にとどまる場合、新事業進出補助金の対象とならない可能性があります。一方、導入したAI見守りシステムを活用して他の介護事業者向けに「コンサル・導入支援サービス」を新規展開する、または医療保険適用の遠隔見守りサービスとして新市場に進出するといった構成であれば、新事業進出として認められる可能性があります。「どの市場への新規参入か」を明確にした事業計画が鍵です。なお、介護ロボット・AI見守りシステムの純粋な導入支援は「介護テクノロジー導入支援事業(都道府県実施・補助率最大3/4)」の方が適合する場合があります。
A新事業進出補助金の補助下限額は750万円で、補助率1/2の場合は総投資額1,500万円以上が必要です。自己資金だけでは不足する場合は、日本政策金融公庫の「新規開業資金」「中小企業経営強化資金」、または信用保証協会付き融資との組み合わせを検討してください。補助金採択前でも、融資計画を事前に金融機関と相談・仮承認を得ておくことで、採択後にスムーズに実行できます。よろず支援拠点や商工会でも資金調達の相談に応じています。
A第4回は現行の「中小企業新事業進出促進補助金」として最終回となる見通しです。2026年度後半(6月頃公募開始予定)には「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(仮称)」として統合制度が公募開始予定です。統合後も「新事業進出枠」は継続される見通しで、年度内3回程度の公募が計画されています。最新情報は中小企業庁(chusho.meti.go.jp)および中小企業基盤整備機構(shinjigyou-shinshutsu.smrj.go.jp)で確認してください。
A申請から入金まで一般的に10〜18ヶ月かかります。内訳は、申請から採択発表まで3〜4ヶ月、採択から交付決定まで1〜2ヶ月、補助事業実施(設備導入・開業)14ヶ月以内、実績報告から入金まで2〜3ヶ月です。補助金は後払いのため、事業に必要な設備購入・工事費・人材採用費はいったん自己資金または融資で立て替える必要があります。訪問看護・障害福祉の場合は指定申請の手続き期間も加わるため、早めに日程計画を立てることが重要です。
A採択率を上げる最重要ポイントは「既存の介護事業との明確な違い(新規性)」を事業計画書に定量的に示すことです。具体的には、①新事業が対象とする顧客・市場が既存事業と異なること、②地域の需要データ(行政の介護保険事業計画・障害福祉計画等)で需要の存在を裏付けること、③3〜5年間の売上・付加価値額・賃金の数値計画を現実的に示すこと、④認定支援機関(中小企業診断士等)のサポートを受けること、の4点です。許認可・専門職確保の具体的なロードマップも採択評価を高める重要な要素です。
A規模の要件は「中小企業・小規模事業者」に該当することで、従業員5名・売上2,000万円規模であれば申請資格自体は満たす可能性があります。ただし、補助下限額750万円のため総投資額1,500万円以上の事業計画が必要です。また、付加価値額4%増・賃上げ3.5%増の要件を数値で示す財務計画も必要です。小規模事業者であっても認定支援機関のサポートを受けることで採択実績があります。まずは商工会・よろず支援拠点でご相談ください。
A介護DXの新事業進出補助金における線引きは「外部市場への新しいサービス展開があるか」です。「自施設の業務効率化のためにAI見守りを導入する」は既存事業の延長(新事業進出に非該当)ですが、「導入したDX技術を活用して他の介護事業者向けにコンサル・導入支援サービスを提供する」「医療保険適用の遠隔監視サービスを新たに展開する」は新市場への新規参入として認められる可能性があります。介護DXを新事業として申請する場合は「B2Bの新収益モデル」または「介護保険外の新サービス」として位置づけることが重要です。詳細は認定支援機関にご相談ください。
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