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製造業の新事業進出補助金2026年最新版|統合後の制度変更・採択事例・申請戦略を徹底解説

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新事業進出補助金(正式名称:中小企業新事業進出補助金)において、製造業は全採択業種の中で最多を占めています。中小企業庁が公表した第1回・第2回の採択結果(2025年10月)によると、製造業の採択件数は全体の約35〜40%に達しており、卸売・小売業、建設業を大きく引き離しています。

製造業と新事業進出補助金:採択業種トップの実態

新事業進出補助金(正式名称:中小企業新事業進出補助金)において、製造業は全採択業種の中で最多を占めています。中小企業庁が公表した第1回・第2回の採択結果(2025年10月)によると、製造業の採択件数は全体の約35〜40%に達しており、卸売・小売業、建設業を大きく引き離しています。

製造業が採択されやすい理由は明確です。既存の生産技術・加工ノウハウ・設備を起点として、隣接分野の新製品開発、新市場への販路開拓、または全く異なる業種への参入が具体的に描きやすいためです。事業計画書における「新規性の説明」が相対的に書きやすく、数値計画(設備稼働率・生産量・売上)の根拠も示しやすい点が強みです。

製造業の採択状況(第1回・第2回公募合計)

  • 第1回公募:応募3,006件、採択1,118件(採択率37.2%)
  • 第2回公募:応募2,350件、採択832件(採択率35.4%)
  • 業種別採択数:製造業が最多(全体の35〜40%程度)
  • 製造業の典型的な新事業:新製品開発、海外展開、D2C参入、食品製造への転換、省力化・自動化による新サービス

出典:中小企業庁「新事業進出補助金 採択結果」(2025年10月)

製造業が採択されやすい3つの理由

採択優位の理由 詳細 事業計画書での活かし方
既存技術の横展開が明確 プレス・切削・溶接・成形などの加工技術を新製品・新分野に適用できる具体的な説明が可能 「既存技術との連関性」と「新規性」を両立させる記述で強固な計画になる
設備投資の根拠が示しやすい 製造ライン・加工機・検査設備など補助対象経費が具体的で、見積書も取得しやすい 補助対象経費の適格性を事前に確認し、補助下限額(750万円)を超える投資計画を組める
数値計画の信頼性が高い 既存製造ラインの稼働率・生産量データを根拠として、新事業の生産計画・売上計画に反映できる 付加価値額4%年平均成長・一人当たり賃金3.5%増の要件を満たす数値根拠を示せる

製造業が新事業進出を迫られている構造的背景

2026年時点において、日本の中小製造業は複合的な課題に直面しています。これらは単一の対策では解決できない構造的な問題であり、新事業進出補助金が「出口」として機能します。

中小製造業が直面する5つの構造的課題(2026年版)

  • 原材料費・エネルギーコストの高騰:2022年以降の物価上昇が続き、鉄鋼・アルミ・樹脂原料はピーク比では若干改善も高止まり。電力コストは製造原価の10〜30%を占めるケースが増加
  • 人手不足・賃金上昇圧力:製造業の有効求人倍率は2.0倍超(厚生労働省2025年)。最低賃金は2024年に全国平均1,055円となり、2025年以降も上昇見込み
  • 既存顧客の発注減少・競合激化:中国・東南アジアメーカーとの価格競争が激化。自動車部品・電子部品では取引先の国内調達比率が変動しリスク顕在化
  • 設備の老朽化・DX対応の遅れ:製造業の設備老朽化指数(簿価/取得価額)は低水準が続く。IoT・AI活用の遅れが競争力低下に直結
  • 後継者不在・事業承継リスク:中小製造業の約60%が後継者未定(中小企業庁推計)。承継を機に新事業へ転換するケースも増加

これらの課題を突破するために、既存製造業の強み(加工技術・設備・取引先ネットワーク)を活かして新市場・新製品・新工法に進出することが、新事業進出補助金の設計思想と完全に合致します。

2026年・第4回公募の制度変更点:製造業が知るべき改定ポイント

第4回公募(2026年3月27日〜6月19日18:00)は、現行「中小企業新事業進出補助金」の最終回となる可能性が高い公募です。第3回公募から複数の重要な変更が加えられており、製造業として申請を検討する際には変更点の把握が不可欠です。

以下は公式サイト(shinjigyou-shinshutsu.smrj.go.jp)および中小企業庁が公開した情報をもとにした変更点の整理です。最新の公募要領(第4回)は必ず公式サイトでご確認ください。

第3回から第4回への主な変更点一覧

変更項目 第3回公募 第4回公募(最新) 製造業への影響
賃上げ要件 選択式(賃上げ型/非賃上げ型で補助率変更) 一律必須:一人当たり給与支給総額年平均3.5%以上増(都道府県最低賃金水準以上) 全申請者に賃上げ計画の記載が必須。製造業では設備投資で生産性向上を図り賃上げ原資を創出する計画が重要
付加価値額要件 年平均4%以上増 年平均4%以上増(継続) 変更なし。新製品・新市場の売上成長で計画的に達成を目指す
補助率特例 大幅賃上げ特例:2/3 大幅賃上げ特例(継続・詳細は公募要領確認) 特例適用で補助率が2/3になる条件を検討する価値あり
加点項目 パートナーシップ構築宣言・DX認定・脱炭素等 加点項目の追加・変更あり(公募要領で確認要) 製造業では「グリーン化」「省エネ設備導入」関連の加点が活用しやすい
提出書類 標準的な書類セット 提出書類の増加(申請内容の精緻化) 認定支援機関との早期連携がより重要に
補助下限額 750万円 750万円(継続) 変更なし。750万円未満の投資計画では申請不可

※上記は公開情報をもとに整理したものです。最新の公募要領は中小企業基盤整備機構の公式ポータルでご確認ください。

第4回公募の補助率・補助上限額(従業員規模別)

従業員数 補助上限額(通常) 補助上限額(大幅賃上げ特例) 補助率 製造業での典型的な活用例
20人以下 2,500万円 3,750万円 1/2(特例2/3) 新製品開発ライン導入・EC販売参入・新分野加工設備
21〜50人 4,000万円 6,000万円 1/2(特例2/3) 新工場建設・海外向け製品ライン・食品製造転換
51〜100人 5,500万円 8,250万円 1/2(特例2/3) 大型生産設備導入・グローバル対応製品開発
101人以上 7,000万円 最大9,000万円 1/2(特例2/3) 新事業部門立ち上げ・複数設備の一括導入

補助下限額は750万円(投資総額750万円以上が申請条件)。補助対象外経費や上乗せ要件の詳細は最新の公募要領でご確認ください。

2026年度からの「新事業進出・ものづくり補助金」統合:製造業への影響

2026年度から、現行の「中小企業新事業進出補助金」と「ものづくり補助金」が統合され、「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(仮称)」として新たな公募が2026年6月頃に開始される予定です(中小企業庁発表)。製造業にとって、この統合は補助金活用戦略の見直しが必要なターニングポイントです。

統合後の制度概要:製造業に関係する変更点

項目 現行:新事業進出補助金 現行:ものづくり補助金 統合後(2026年度・予定)
制度名 中小企業新事業進出補助金 ものづくり・商業・サービス補助金 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(仮称)
申請枠 新事業進出枠のみ 通常枠/省力化(オーダーメイド)枠/グローバル枠 4枠構成(通常枠/省力化枠/グローバル枠/新事業進出枠)
製造業向け補助上限 最大7,000万円(101人以上) 枠・規模別に異なる(最大5,000万円程度) 最大7,000万円(特例時最大9,000万円)継続見込み
省力化設備 新事業向け設備のみ対象 省力化(オーダーメイド)枠で既存事業の省力化も対象 省力化枠として継続・既存製造ラインの自動化にも対応
グローバル枠 なし あり(海外展開・輸出) 継続(海外製造拠点設立・輸出向け製品開発に活用可)
公募開始予定 第4回(2026年3〜6月)が最終 2026年度も継続予定 2026年6月頃〜年3回程度の公募予定

製造業への統合メリット:「新事業進出」と「省力化」を1制度で

統合後は、製造業が新製品開発ライン(新事業進出枠)と既存ライン自動化(省力化枠)を同時進行させる際、1つの制度体系の中で申請を検討できます。ただし統合後の詳細要件・補助率・申請条件は2026年6月頃の公募要領公開まで確定しません。最新情報は中小企業庁(chusho.meti.go.jp)でご確認ください。

統合前の今:製造業が現行制度で申請すべき理由

第4回公募(2026年6月19日締切)は現行制度での最後の申請機会です。統合後の新制度は2026年6月頃開始予定とされていますが、制度詳細が確定するまでのタイムラグがあります。製造業として以下の観点から、現行制度での申請を優先検討する理由があります。

  • 現行制度の申請要件が明確:第4回公募要領は既に公開済みで、申請書類・要件・審査基準が把握できる状態
  • 採択実績に基づく計画が立てやすい:第1〜3回の採択傾向から、審査官が評価するポイントが蓄積されている
  • 認定支援機関のノウハウが蓄積:現行制度に精通した認定支援機関(商工会議所・中小企業診断士等)からのサポートが受けやすい
  • 統合後の移行期リスク:新制度への移行期は申請受付の空白期間が生じる可能性があり、投資計画のタイミングが後ろ倒しになるリスクがある
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製造業の業種別採択事例モデル:6業種の新事業進出パターン

以下は、公開採択情報・公募要領の記載内容・業界動向をもとに作成した製造業の新事業進出モデルケースです。実際の補助金額・採択結果を保証するものではありません。事業計画の参考としてご活用ください。

モデルケース1:金属加工業者が食品製造へ参入(従業員22名・21〜50人枠)

項目内容
事業者概要精密板金加工業(従業員22名・年商1.8億円)。自動車部品・電子機器筐体の受注が主力。
課題主要顧客である自動車メーカーの国内生産縮小により受注が20%減少。同業他社との価格競争で粗利率が低下。
新事業の内容精密加工技術を活かした食品製造装置(スライサー・成形機の部品)の自社ブランド化と、食品工場向け衛生管理ステンレス設備の製造販売へ参入
投資総額3,200万円(衛生対応加工設備600万円・設計・認証取得費400万円・展示会出展・Webサイト構築800万円・製品開発費用1,400万円)
補助金申請額1,600万円(補助率1/2・21〜50人枠)
3年目目標食品関連部品売上3,500万円(新規顧客15社獲得)
採択のポイント既存の精密加工技術との連関性(金属加工ノウハウがそのまま食品機械部品に活きる)を具体的に説明。食品製造業向け展示会への出展計画と、実際に接触した食品工場からのヒアリング結果(潜在ニーズ調査書)を添付した。

※上記はモデルケースです。実際の補助金額・採択結果を保証するものではありません。

モデルケース2:樹脂成形業者が医療機器部品へ参入(従業員16名・20人以下枠)

項目内容
事業者概要射出成形業者(従業員16名・年商1.2億円)。家電・OA機器向け樹脂部品が主力。
課題家電・OA機器の国内生産が縮小し、主要顧客からの発注が減少傾向。単価下落が続き収益が圧迫。
新事業の内容医療機器向け樹脂部品(体外診断用機器ケース・医療用消耗品)の製造への新規参入。クリーンルーム設備を整備してISO 13485取得を目指す。
投資総額2,200万円(クリーンルーム改修800万円・高精度成形機導入700万円・ISO認証取得費300万円・品質管理システム400万円)
補助金申請額1,100万円(補助率1/2・20人以下枠)
3年目目標医療部品売上2,000万円(新規顧客5〜8社)。ISO 13485取得による参入障壁の構築
採択のポイント医療機器分野の成長市場データ(国内医療機器市場は年率3〜5%成長)と、既存の精密成形技術の転用可能性を明確に説明。クリーンルーム投資が補助対象(建物附属設備・製造設備として)となることを事前に確認した。

※上記はモデルケースです。実際の補助金額・採択結果を保証するものではありません。

モデルケース3:縫製業者がアパレルD2C事業へ参入(従業員28名・21〜50人枠)

項目内容
事業者概要縫製業者(従業員28名・年商2.0億円)。OEM生産専業でブランドを持たない。
課題主要取引先アパレルメーカーの海外生産シフトにより発注量が5年で30%減少。値下げ要求も続き経営が圧迫。
新事業の内容自社ブランドのサステナブルアパレル(廃材素材・日本製ラベル)を立ち上げ、ECサイトとクラウドファンディングで直販するD2Cモデルへの転換
投資総額2,800万円(ECサイト構築・写真スタジオ整備600万円・広告宣伝・SNSマーケティング900万円・新素材開発費400万円・ブランディング費900万円)
補助金申請額1,400万円(補助率1/2・21〜50人枠)
3年目目標D2C売上5,000万円(EC経由・リピーター率40%以上)
採択のポイント製造から販売まで一貫した「日本製×サステナブル」ブランドの差別化ポジションを具体化。クラウドファンディングでの事前需要調査(目標達成率・支援者数)を根拠として添付した。賃上げ要件についても既存OEM単価上昇を停止し直販粗利で賃上げ原資を確保するシナリオを数値で説明した。

※上記はモデルケースです。実際の補助金額・採択結果を保証するものではありません。

モデルケース4:印刷業者がパッケージ・サイン制作事業へ参入(従業員35名・21〜50人枠)

項目内容
事業者概要オフセット印刷業者(従業員35名・年商2.5億円)。チラシ・カタログ・名刺印刷が主力。
課題デジタル化によるチラシ・カタログ需要の構造的縮小。単価下落と受注量減少が同時進行。
新事業の内容UV印刷・ラージフォーマット印刷への設備投資による店舗向けサイングラフィックス(店頭POP・ウィンドウグラフィック・デジタルサイネージ連携)事業への参入
投資総額3,500万円(UV印刷機導入1,200万円・ラージフォーマット機800万円・デザインシステム・施工機材600万円・展示会出展・販促費900万円)
補助金申請額1,750万円(補助率1/2・21〜50人枠)
3年目目標サイン・グラフィックス事業売上4,000万円(小売業・飲食業50〜80社へ展開)
採択のポイント既存顧客(チラシ客)への新サービス横展開でコールドスタートリスクを最小化する計画。UV印刷技術が既存オフセット技術者でも習得可能であることを説明し、人員計画のリアリティを示した。

※上記はモデルケースです。実際の補助金額・採択結果を保証するものではありません。

モデルケース5:鉄工所が海外向け農業機械部品の輸出事業に参入(従業員52名・51〜100人枠)

項目内容
事業者概要農業機械部品の国内製造(従業員52名・年商3.5億円)。国内農機メーカーへのOEM供給。
課題国内農家の減少と農機の長期使用化により国内需要が縮小。主要顧客の海外調達比率が上昇中。
新事業の内容東南アジア(ベトナム・タイ)の農業機械メーカーへの直接輸出。現地法規制に対応した製品仕様開発と輸出体制の構築
投資総額4,500万円(国際規格対応設備800万円・現地語対応ECサイト・カタログ600万円・海外展示会出展1,200万円・現地代理店開拓費用1,900万円)
補助金申請額2,250万円(補助率1/2・51〜100人枠)
3年目目標輸出売上6,000万円(ベトナム・タイ各1〜2社の長期供給契約)
採択のポイント東南アジアの農業機械市場成長率(年率6〜8%)のデータと、現地視察に基づくバイヤー接触実績(ミーティング議事録)を根拠として提示。統合後の新制度ではグローバル枠でも対応可能になる見込みのため、現行・統合後両面で活用できる事業計画を設計。

※上記はモデルケースです。実際の補助金額・採択結果を保証するものではありません。

モデルケース6:部品製造業がAI検査サービス事業に参入(従業員18名・20人以下枠)

項目内容
事業者概要精密部品製造(従業員18名・年商1.0億円)。長年の外観検査ノウハウを社内に蓄積。
課題人手不足による検査工程のボトルネック化。熟練検査員の高齢化で技能継承が困難。
新事業の内容自社の外観検査ノウハウをAIモデル化し、他の中小製造業者への「AI外観検査SaaSサービス」として外販。既存製造事業とのハイブリッドモデル
投資総額2,000万円(AIカメラ・エッジコンピューティング設備800万円・AIモデル開発・学習費600万円・サービスサイト構築400万円・初期顧客開拓費200万円)
補助金申請額1,000万円(補助率1/2・20人以下枠)
3年目目標AI検査サービス売上1,500万円(月額契約10〜15社)
採択のポイント「製造業からITサービス業への転換」という業種コード変化を明確に示した。社内の熟練検査員が持つ暗黙知をAIに転移させるプロセスを具体的に説明し、新規性・技術的実現可能性を示した。既存製造事業との明確な区分(会計分離計画)も評価につながった。

※上記はモデルケースです。実際の補助金額・採択結果を保証するものではありません。

製造業の新事業進出補助金:補助対象経費の内訳と注意点

新事業進出補助金の補助対象経費は広範囲にわたりますが、製造業特有の設備投資においていくつかの注意点があります。「補助対象になると思っていたら対象外だった」という典型的な失敗を避けるため、主要経費の適格性を事前に確認してください。

補助対象経費の一覧(製造業向け主要経費)

経費区分 具体例(製造業) 補助対象 注意事項
建物費 新事業用工場棟の新設・増築・改修(クリーンルーム整備含む) 対象 既存建物の修繕・維持管理は対象外。新事業専用部分のみ対象
機械装置・システム構築費 新製品製造設備、AI検査装置、専用工作機械、ロボットアーム等 対象 既存製造ラインの改良(既存事業向け)は対象外。新事業用途であることの証明が必要
技術導入費 新製品製造に必要な特許実施料、技術ライセンス料 対象 グループ内取引は対象外になる場合あり
専門家経費 認定支援機関費用、弁理士(特許)、認証取得コンサル(ISO等) 対象 上限あり。申請コンサル費用は補助対象経費に含まれる場合がある(公募要領確認要)
運搬費 新製品・新設備の搬入・設置・試運転費 対象 見積書に明細記載が必要
クラウドサービス費 新事業向けERPシステム、生産管理SaaS(月額・1年分) 対象(一部) 汎用性の高いサービスは対象外の場合あり。新事業専用のシステムか確認要
外注費 新製品設計外注、試作品製作外注 対象 不可欠であること・外注先の専門性を証明する資料が必要
広告宣伝・販売促進費 新製品展示会出展、カタログ制作、Webサイト構築、SNS広告 対象(上限あり) 補助対象経費合計の1/4以内が上限(公募要領で確認要)

製造業でよくある「対象外」経費

  • 土地の購入費・賃料:不動産取得費は原則対象外
  • 既存製造設備の更新・修繕:既存事業向けの設備改善は対象外
  • 汎用PCや一般事務用品:専用性のない汎用機器は対象外
  • 交付決定前の発注・支払い:採択後でも交付決定前の発注は全額対象外(最頻発の失敗)
  • 人件費(原則):雇用者の人件費は補助対象外(専門家謝金を除く)

製造業の事業計画書:採択率を上げる書き方の7つのポイント

新事業進出補助金の採択率は第1回37.2%・第2回35.4%と、申請者の約3人に2人が落選しています。製造業として採択を勝ち取るために、事業計画書で審査官を納得させる7つのポイントを解説します。

採択事業計画書に共通する7つの特徴

ポイント 具体的な書き方 NGパターン
① 新規性の明確化 「既存事業(○○製造)との業種コードの違い」「新市場・新顧客層の具体化」を冒頭で明記する 「既存事業の延長」「機能の追加」など既存事業の改善に留まる表現
② 技術的実現可能性の証明 既存技術・設備・人員がどう新事業に転用できるかを工程図・設備仕様書で説明 「検討中」「導入予定」など曖昧な表現。技術的根拠なしの計画
③ 市場分析の根拠データ 矢野経済研究所・中小企業庁・業界団体の統計データを引用し、参入市場の規模・成長率を数値で示す 「需要があると思われる」「業界全体が成長している」など根拠なき楽観
④ 顧客ヒアリングの実施 潜在顧客(既存取引先・展示会来場者等)へのアンケート・ヒアリングを実施し、結果を添付 顧客ニーズを推測だけで記載。実際の顧客の声がない
⑤ 付加価値額4%成長の根拠 売上計画・原価計画・人件費計画から付加価値額を算出し、年平均4%成長が達成される数値ロジックを示す 「目標を達成する予定」など計画根拠のない数値記載
⑥ 賃上げ3.5%増の具体策 新事業の付加価値向上による利益拡大から賃上げ原資を確保するシナリオを示す。基本給の引き上げ計画を具体化 「売上が上がれば賃上げできる」という曖昧な表現
⑦ リスクと対処の記載 「競合参入リスク」「技術習得の遅延リスク」「市場規模が想定を下回るリスク」の各対処策を記載 リスクを一切記載しないポジティブ一辺倒の計画書(審査官に信頼性の低さを与える)

製造業でよくある申請失敗パターン5つ

失敗パターン 内容 対策
交付決定前の発注 採択通知後・交付決定通知前に製造設備を発注してしまい補助対象外になる(最頻発) 交付決定通知書が届くまで、設備の発注書・契約書の締結は絶対にしない
新規性が認められない 「既存製造ラインの能力増強」「同じ製品の量産化」は新事業進出と認められない 業種コードの変化・新顧客層への進出・新製品の投入など「新規性」を複数の観点で示す
補助下限額750万円未満の計画 小規模な設備投資(200〜500万円)で申請しようとして要件を満たさない 新事業立ち上げに必要な設備・システム・広告を複数年にわたって積み上げ750万円以上に
賃上げ計画の数値根拠なし 第4回から賃上げが必須要件化されたにもかかわらず、具体的な賃上げ額・根拠を示せない 現在の一人当たり給与実績値と、新事業の利益から賃上げ原資を創出する数値シナリオを作成する
GビズIDの取得が間に合わない 公募締切の1〜2週間前に申請を始めようとしてGビズIDプライムが間に合わない 新事業進出補助金を検討し始めた時点でGビズIDプライムの取得を開始する(郵送確認で2〜3週間)

製造業の新事業進出補助金:申請ステップ完全ガイド

製造業が新事業進出補助金に申請するまでの標準的な流れを解説します。認定支援機関との連携タイミングと、各ステップにかかる目安期間を把握しておくことが重要です。

申請から採択・補助金入金までの全ステップ

ステップ 内容 目安期間 製造業での注意点
STEP 1
GビズIDプライム取得
Jグランツ(電子申請システム)へのログインに必要。法人・個人事業主で取得方法が異なる 2〜3週間 郵送で届く確認コードが必要なため、公募締切の1ヶ月前には申請開始
STEP 2
認定支援機関への相談
商工会議所・中小企業診断士・認定行政書士など。事業計画書の相談・確認書の発行に必要 2〜4週間(機関選定・相談・確認書発行まで) 製造業の新事業進出に詳しい認定支援機関を選ぶことが重要。製造業の事業計画に精通した診断士を探す
STEP 3
事業計画書の作成
補助事業の概要・新規性の説明・市場分析・数値計画(付加価値額・賃金計画)を記載 2〜8週間(内容の複雑さによる) 製造技術の強みを非製造業の審査官にも伝わる言葉で説明する。工程図・設備仕様書・顧客ヒアリング結果を添付
STEP 4
補助対象経費の見積書取得
設備・システム・広告等の見積書を複数業者から取得(相見積もり推奨) 1〜2週間 「補助金申請用見積書」であることを業者に伝える。発注書・契約書は絶対に出さない
STEP 5
Jグランツで電子申請
事業計画書・見積書・認定支援機関の確認書等をJグランツ(jgrants.go.jp)でアップロード・申請 1〜2週間(書類準備含む) Jグランツの操作に不慣れな場合は認定支援機関のサポートを受ける
STEP 6
採択結果の通知
申請締切から3〜4ヶ月後に採択・不採択が通知される 3〜4ヶ月 採択通知=交付決定ではない。交付申請・交付決定が完了するまで設備の発注はしない
STEP 7
交付申請・交付決定
採択後に交付申請書を提出し、審査後に交付決定通知書が届く 1〜2ヶ月 交付決定通知書が届いた日から補助事業(設備発注等)が開始できる
STEP 8
補助事業の実施
設備発注・導入・新事業の立ち上げ。全費用はいったん自己資金または融資で立て替え 事業期間に準じる(6〜12ヶ月程度) 領収書・発注書・納品書は全て保管。後の実績報告に必要
STEP 9
実績報告・補助金入金
補助事業完了後に実績報告書を提出し、確定検査後に補助金が入金される 確定検査後1〜3ヶ月 申請から入金まで合計12〜18ヶ月が目安。資金繰りを先に確保することが必須

製造業が活用すべき補助金の比較:新事業進出補助金とものづくり補助金の使い分け

製造業が活用できる主要補助金の中で、新事業進出補助金とものづくり補助金(第23次)は補完的な役割を持ちます。2026年度以降の統合を見据えた活用判断をするために、現行制度での主な違いを整理します。

新事業進出補助金 vs ものづくり補助金(第23次):製造業向け比較表

比較項目 新事業進出補助金(第4回・最終) ものづくり補助金(第23次)
対象事業 新市場・新製品・新工法など「新規事業への進出」 革新的な製品・サービス開発、生産プロセス改善
補助上限額 2,500〜7,000万円(従業員数別) 通常枠:750〜1,250万円、省力化(オーダーメイド)枠:最大4,000万円
補助率 1/2(特例時2/3) 1/2〜2/3(小規模・中小は2/3の場合あり)
補助下限額 750万円(投資総額) 100万円〜(枠によって異なる)
既存事業との関係 「新事業への進出」が必須要件(既存事業の改善は対象外) 既存製造事業の高度化・自動化も対象
適しているケース 全く新しい製品・市場・業種への大規模参入。新事業立ち上げに多額の投資が必要 既存製造ラインの自動化・省力化。革新的な製品の開発。比較的小規模な投資
採択率 第1回37.2%、第2回35.4% 第22次:約43%(通常枠)
公募状況(2026年6月時点) 第4回(2026年6月19日締切)が最終回 第23次公募が進行中(詳細は公式サイト確認要)
2026年度以降 ものづくり補助金と統合(2026年6月頃から) 新事業進出補助金と統合(2026年6月頃から)

製造業の活用ガイド:どちらを選ぶか

  • 新事業進出補助金を選ぶべきケース:投資総額が750万円以上・新しい業種・市場・製品に大規模参入・現行制度の最後のチャンスを使いたい
  • ものづくり補助金を選ぶべきケース:既存製造ラインの自動化・省力化・革新的製品開発・投資額が比較的小規模(100万〜750万円未満)
  • 2026年6月以降(統合後):統合された「新事業進出・ものづくり補助金」で両ニーズに1制度で対応可能になる予定

製造業の申請前チェックリストと採択率向上ポイント

製造業向け申請前チェックリスト(第4回公募・最終確認用)

  • GビズIDプライムの取得が完了している(取得に2〜3週間かかる)
  • 新事業への進出が既存製造事業との「業種コード」の変化または「新市場・新顧客」への参入として説明できる
  • 新事業向けの投資合計額が750万円以上(補助下限額)を超えている
  • 認定支援機関(商工会議所・中小企業診断士・認定行政書士)への相談を完了し、確認書の取得めどが立っている
  • 補助対象経費の見積書を複数業者から取得済みで、発注書・契約書はまだ出していない
  • 3〜5年の数値計画(売上・付加価値額年平均4%増・賃金年平均3.5%増)が根拠とともに記載されている
  • 潜在顧客へのヒアリング・アンケート結果を添付できる
  • 事業計画書に「リスクと対処策」を記載した
  • パートナーシップ構築宣言への登録を済ませた(加点項目)
  • 最新の公募要領(第4回)を入手して要件・提出書類を確認した

採択率を上げるために特に重要なのは、認定支援機関との早期連携数値根拠のある事業計画書です。第4回は現行制度最終回のため、認定支援機関も年末にかけて繁忙になる可能性があります。できる限り早期に相談を始めることをお勧めします。

まとめ:製造業が新事業進出補助金を2026年に活用する戦略

製造業は新事業進出補助金において採択業種トップという実績を持ちながら、申請者全体の約65%は不採択という厳しい競争にも直面しています。採択と不採択の分かれ目は、事業の新規性を具体的に証明できるか数値根拠のある計画が作成できるかに集約されます。

製造業の新事業タイプ 補助金活用のポイント 統合後(2026年6月〜)の対応枠
新製品開発・新市場参入 技術転用の具体性・顧客ヒアリング結果を根拠に 新事業進出枠
海外展開・輸出向け製品開発 現地市場調査データ・現地パートナー接触実績を添付 グローバル枠
AI・自動化による新サービス化 既存技術のデジタル転換の実現可能性を工程図で説明 省力化枠または新事業進出枠
D2C・EC参入(OEM脱却) ブランド差別化ポイントと市場ニーズ調査を根拠に 新事業進出枠
  1. 今すぐGビズIDプライムを取得する:最初にやるべきことはこれだけ。取得に2〜3週間かかる
  2. 認定支援機関に早期相談する:製造業の新事業進出に詳しい診断士・商工会議所を探して相談予約を入れる
  3. 数値根拠のある事業計画書を作成する:市場データ・顧客ヒアリング結果・付加価値額計画を三位一体で用意する
  4. 交付決定まで発注しない:これが最多の失敗パターン。採択後も交付決定通知書が届くまでは絶対に発注しない
  5. 統合後の新制度も念頭に置く:2026年6月頃から「新事業進出・ものづくり補助金」として統合予定。現行申請が間に合わない場合は統合後の公募を待つ選択肢も有効

まずは認定支援機関への相談から

新事業進出補助金は採択率35〜37%の競争的補助金です。製造業として採択を勝ち取るには、認定支援機関のサポートが不可欠です。最寄りの商工会議所・よろず支援拠点では無料相談を受け付けています。また、中小企業基盤整備機構の公式ポータルで最新の公募要領・採択事例・公募説明会の情報をご確認ください。

よくある質問(FAQ)

Aはい、製造業は新事業進出補助金の対象業種です。第1回・第2回採択結果では製造業が全業種の中で最多採択となっており、金属加工・食品・樹脂・繊維・印刷など幅広い製造業種が採択されています。ただし「新規事業への進出」という要件があるため、既存の製造事業の延長や設備の単純更新は対象外です。詳細は最新の公募要領でご確認ください。
A第4回公募(2026年)の補助上限額は従業員数によって異なります。20人以下で最大2,500万円、21〜50人で最大4,000万円、51〜100人で最大5,500万円、101人以上で最大7,000万円です。補助率は基本1/2(大幅賃上げ特例時2/3)で、補助下限額は投資総額750万円(補助額換算で約375万円〜)です。最新情報は必ず公募要領でご確認ください。
A既存の製造事業の自動化・省力化(同じ製品・同じ顧客向け)は、新事業進出補助金の対象外になる場合が多いです。新事業進出補助金は「新規事業への進出」が要件であり、既存事業の効率化は「ものづくり補助金(省力化・オーダーメイド枠)」での申請が適しています。2026年6月頃から両補助金が統合予定のため、統合後は1制度で両ニーズに対応できる見込みです。
A現行制度「中小企業新事業進出補助金」の第4回公募は2026年6月19日18時をもって受付終了となりました。次の申請機会は、ものづくり補助金と統合される「新事業進出・ものづくり補助金(仮称)」として2026年6月頃以降に公募が開始される予定です(中小企業庁発表)。統合後の制度詳細は中小企業庁(chusho.meti.go.jp)の最新情報でご確認ください。
A第1回公募(応募3,006件)の採択率は約37.2%(採択1,118件)、第2回公募(応募2,350件)の採択率は約35.4%(採択832件)です。申請者の約3人に2人が不採択となっており、事業計画の質が採否を大きく左右します。製造業では技術的実現可能性の証明・市場分析のデータ根拠・賃上げ計画の具体性が採択のカギになります。出典:中小企業庁「新事業進出補助金採択結果」(2025年10月)
A新規性の主な判断基準は①業種コードの変化(例:金属加工業から医療機器製造業への転換)、②新市場・新顧客への進出(例:国内OEM専業から海外直販への転換)、③新製品・新サービスの投入(例:部品製造からAI検査サービスへ)などです。「既存製品の派生品」「同じ顧客への別サービス」は新規性が弱いと判断される傾向があります。認定支援機関への相談で事前に新規性の妥当性を確認することをお勧めします。
A新事業専用の機械装置・設備(製造ライン・AI検査装置・特殊工作機械等)は補助対象です。また、新事業用の建物新設・改修費(クリーンルーム整備等)も対象になります。一方、既存製造事業向けの設備更新・修繕費、土地購入費、人件費(原則)、汎用事務機器は対象外です。また、交付決定前の発注・購入は全額対象外となるため注意が必要です。詳細は最新の公募要領でご確認ください。
A2026年6月頃から「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(仮称)」として統合が予定されています。統合後は通常枠・省力化枠・グローバル枠・新事業進出枠の4枠構成となり、製造業は既存ラインの自動化(省力化枠)と新事業参入(新事業進出枠)を1制度内で使い分けられる見込みです。補助上限額は最大7,000万円(特例時9,000万円)が継続される見込みですが、詳細は公募開始時の公募要領で確認が必要です。
A認定支援機関は①商工会議所・商工会(多くが無料相談対応)②中小企業診断士事務所③認定行政書士④地域の銀行・信用金庫があります。商工会議所・よろず支援拠点での初回相談は原則無料です。民間の中小企業診断士や行政書士に依頼する場合は着手金・成功報酬が発生しますが、申請コンサル費用の一部が補助対象経費に含まれる場合があります。最寄りの商工会議所(日本商工会議所サイトで検索可)またはよろず支援拠点( yorozu-soudan.jp)にご相談ください。
A国庫補助金等に該当する場合、圧縮記帳(法人税法第42条)が適用できます。補助金を受け取った事業年度に補助金相当額の圧縮損を計上し、設備取得価額から控除することで課税を後年度に繰り延べる税務処理です。ただし圧縮記帳は将来の減価償却費が減少するため、税理士との相談のうえで適用を判断することをお勧めします。補助金申請から入金まで12〜18ヶ月かかるため、資金繰りを含めた税務計画を事前に立てておくことが重要です。
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