目次

新事業進出補助金の建設業・建設会社向け申請ガイド2026|業態転換・DX・新工法事例集

専門家1 専門家2 専門家3

新事業の補助金申請、プロに任せませんか?

採択実績豊富な中小企業診断士・行政書士が無料で診断します

無料相談

この記事の結論

建設業界は2024年問題(残業規制の強化)・深刻な担い手不足・資材価格の高騰・デジタル化への対応遅れという4つの構造課題に直面しています。国土交通省の調査によると、建設業の就業者数は1997年の685万人をピークに減少が続いており、2023年時点では約479万人(約30%減)に達しています。

建設業界の現状:なぜ今、新事業進出が急務なのか

建設業界は2024年問題(残業規制の強化)・深刻な担い手不足・資材価格の高騰・デジタル化への対応遅れという4つの構造課題に直面しています。国土交通省の調査によると、建設業の就業者数は1997年の685万人をピークに減少が続いており、2023年時点では約479万人(約30%減)に達しています。一方で、2030年に向けたインフラ更新需要・災害復旧工事・物流施設建設など、工事需要自体は底堅い状況が続いています。

こうした需給のミスマッチと構造変化の中で、多くの中小建設会社が「既存の請負工事だけでは利益率が維持できない」と判断し、新規事業への進出を模索しています。新事業進出補助金(中小企業新事業進出補助金・旧事業再構築補助金の後継制度)は、こうした建設業の業態転換・新規事業立ち上げを国が最大7,000万円の補助で後押しする制度です。

建設業が新事業進出補助金に向いている理由

建設業は事業再構築補助金(前身制度)でも採択率が高い業種でした。その理由は、建設業が持つ固有の強み(施工技術・現場管理ノウハウ・機材・車両・職人ネットワーク・土地建物の知識・法人顧客基盤)が、隣接する多様な新規事業に転用しやすいためです。新事業進出補助金でも同様の傾向が続いており、2026年第2回公募の採択案件一覧(中小企業基盤整備機構・2026年3月31日公表)でも建設業種からの採択が上位を占めています。

建設業が直面する4つの構造課題

課題 具体的な影響 新事業進出による解決方向
2024年問題(残業規制) 年間時間外労働の上限規制により、従来の長時間労働前提の請負工事が受注困難に。売上減少・コスト増が直撃 工程管理DX・ICT活用で生産性向上、または労働集約型でない新事業への転換
担い手不足・高齢化 技能者の高齢化が進み、若手入職者が定着しない。現場での技術継承が困難 ドローン測量・AIカメラ・施工ロボット導入で省人化。または技術を活かしたコンサル・教育事業へ
資材・エネルギー価格高騰 木材・鉄鋼・コンクリートの価格が2020年比で大幅上昇。受注価格への転嫁が難しく利益率が圧迫 資材調達・加工の内製化、またはリノベーション・リフォームなど資材量が少ない事業へのシフト
デジタル化への対応遅れ BIM/CIM・施工管理クラウド・電子契約などの導入が大手と中小の格差を拡大。公共工事入札でも電子化が必須要件化 DXツール導入による業務効率化と、新たなデジタルサービス提供事業の立ち上げ

建設業が参入できる隣接市場:成長分野の把握

建設業の強みが活きる隣接市場は複数あります。以下は新事業進出補助金の申請で「新規性」が認められやすい市場領域と、その成長規模の目安です。

隣接市場 市場規模・成長性 建設業の強みが活きるポイント 補助金との親和性
リノベーション・リフォーム 約7兆円規模・中古住宅市場拡大で成長中 施工技術・職人ネットワーク・顧客基盤 高(既存建設業からの業態転換として認められやすい)
ドローン測量・点検サービス 急成長(2027年に国内市場2,000億円超予測) 現場経験・高所作業・測量知識・法人顧客 高(技術要素が明確・新市場への進出が説明しやすい)
不動産管理・PM事業 管理戸数増加・空き家問題で需要拡大 建物知識・修繕対応・顧客の建物保有状況 中〜高(既存顧客の建物管理受託は新規性の説明が必要)
木材加工・木製品製造 国産材活用政策で内需拡大中 木材取り扱いノウハウ・製材知識・設備 高(製造業への業種転換として認められやすい)
太陽光設備メンテナンス 既設パネルの老朽化で今後急増 屋根工事・電気工事・高所作業技術 高(新市場×脱炭素の文脈で加点も期待)
建設ICTコンサルティング 中小建設業のDX需要が増加 現場経験に基づくICT活用の実証ノウハウ 高(サービス業への業態転換として申請可能)

出典:国土交通省「令和5年度 建設業実態調査」、矢野経済研究所各種市場調査(2023〜2024年)

新事業進出補助金の制度概要(2026年・建設業向け解説)

中小企業新事業進出補助金(運営:中小企業基盤整備機構)は、中小企業・小規模事業者・個人事業主が「新事業分野への進出」に必要な設備投資・システム構築・マーケティング費用に対して補助を受けられる制度です。旧「事業再構築補助金」の後継制度として2025年4月に創設されました。建設業も対象業種に含まれており、新規市場・新顧客への進出計画であれば申請できます。

第4回公募スケジュール(現行制度の最終回の可能性)

第4回公募受付期間:2026年3月27日(木)〜2026年6月19日(金)18:00(厳守)。採択発表は2026年9月頃の予定。第4回は現行制度「中小企業新事業進出補助金」としての最終回となる可能性が高く、2026年度以降は「新事業進出・ものづくり補助金(仮称)」への統合が予定されています。最新の公募情報は公式ポータル(shinjigyou-shinshutsu.smrj.go.jp)でご確認ください。

補助率・補助上限額・補助下限額(従業員規模別)

従業員数 補助上限額(通常) 補助上限額(大幅賃上げ特例) 補助率
20人以下 2,500万円 3,000万円 1/2(条件次第で2/3)
21〜50人 4,000万円 5,000万円 1/2(条件次第で2/3)
51〜100人 5,500万円 6,500万円 1/2(条件次第で2/3)
101人以上 7,000万円 9,000万円 1/2(条件次第で2/3)

補助下限額:750万円(補助率1/2を前提にすると総事業費1,500万円以上の投資計画が必要)

建設業が陥りやすい「補助下限未達」の落とし穴

小規模な建設会社では「ドローン1台+ライセンス取得費」程度(200〜400万円)の計画で申請しようとするケースがありますが、補助下限額の750万円未満の投資計画では申請できません。機材・ソフトウェア・人材育成・マーケティング・システム構築などを複合的に積み上げ、750万円以上の総事業費を設計する必要があります。認定支援機関と事前に相談することをお勧めします。

申請必須の3要件(建設業の場合の読み解き方)

新事業進出補助金には必須の申請要件が3つあります。建設業特有の観点でそれぞれの要件を解説します。

申請必須の3要件

要件1:新事業進出要件

申請事業が「新事業進出指針」の定義に合致すること。建設業の場合、日本標準産業分類の大分類(またはより細かい分類)が変わる、あるいは新顧客層・新販売チャネルへの進出であることを事業計画書で明示する必要があります。単なる工事受注量の拡大ではなく、新たな事業分野への進出であることが必須です。

要件2:付加価値額要件

補助事業終了後3〜5年の計画期間で、付加価値額の年平均成長率が4.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること。建設業では売上高から外注費・材料費などを差し引いた付加価値額を基準に試算する必要があります。

要件3:賃上げ要件

補助事業終了後3〜5年の計画期間で、一人当たり給与支給総額の年平均成長率を3.5%以上増加させること。技能者・職人の処遇改善が求められる建設業では、この要件が採択評価にもプラスに働きます。

建設業で補助対象となる主な経費9区分と具体例

経費区分 建設業での具体例 補助対象
機械装置・システム構築費 ドローン機体・測量ソフト・BIMソフトウェア・施工管理クラウド・リノベーション用電動工具一式・太陽光点検用赤外線カメラ 対象
建物費 新事業用の加工場・ショールームの建築・改修費(賃貸物件の内装工事含む) 対象(上限あり・土地代は不可)
クラウドサービス利用費 施工管理SaaS(月額費用の一定期間分)・不動産管理システム・予約管理ツール 対象(補助事業期間分)
外注費 Webサイト制作・ブランドCI開発・BIMモデル作成委託・新事業用パンフレット制作 対象
技術導入費 ドローン操縦ライセンス取得費・BIM操作研修費・専門資格取得費(特定の技術ライセンス) 対象(一定の条件あり)
広告宣伝・販売促進費 新サービスの展示会出展費・Google広告費・チラシ・リノベーション事例集制作費 対象(補助対象経費の一定割合上限)
専門家経費 認定支援機関の申請支援費・事業計画策定コンサル費・弁護士・税理士相談費 対象(補助対象経費の一定割合上限)
研修費 新事業分野に必要なスタッフ向け研修・資格取得サポート費用 対象
運搬費 新事業用機材・設備の搬入・設置費用 対象

建設業で補助対象外となりやすい経費

以下は原則として補助対象外です。①交付決定前に発注・契約した経費(採択後・交付決定通知書を受け取る前の発注は全額否認)、②既存工事に使用する機材の通常更新・修繕、③建設現場での使い捨て資材・消耗品、④土地取得費、⑤補助事業と直接関係のない汎用品(事務用パソコン単体等)、⑥既存の施工管理ツールの単純な更新。必ず最新の公募要領と認定支援機関に確認してください。

建設業における新事業進出補助金の採択パターン6選

建設業が新事業進出補助金で採択されるためには、「建設業の強みを活かした新規事業への進出」という点を具体的・定量的に事業計画書に示すことが重要です。以下では、実際の採択傾向から見えてきた6つの代表的なパターンを解説します(採択事例は公式採択案件一覧・認定支援機関の事例集・業界紙を参照。個別事業者の固有情報は含みません)。

パターン1:ドローン測量・インフラ点検サービスへの進出

ドローン測量・点検事業モデルケース

事業者概要(モデルケース)

地方の中小土木工事業者(従業員15名・年商1.5億円)。公共工事の受注が主力だが、受注競争の激化と若手不足が深刻化

新事業の内容

橋梁・道路・農地・太陽光発電設備のドローン測量・点検データサービスの新規立ち上げ。測量データのBIM変換・レポート提出まで一貫提供

投資総額(想定)

約1,800万円(ドローン機体・測量ソフト600万円・国家資格取得・研修費200万円・営業用Webサイト・事例集200万円・BIM処理設備400万円・営業活動費400万円)

補助金申請額(想定)

約900万円(補助率1/2・20人以下枠)

新規性のポイント

「土木施工」から「測量・データサービス提供(サービス業)」への業種転換。顧客が工事発注者から、点検データを必要とする自治体・電力会社・農業法人へと拡大

採択のポイント

土木工事の現場経験によるドローン飛行の実用理解、既存の公共顧客との関係を活かした初期受注計画の説得力、国家資格(ドローン操縦技能証明)取得計画の具体性

※上記はモデルケースです。実際の補助金額・採択結果を保証するものではありません。詳細は最新の公募要領・認定支援機関にご相談ください。

パターン2:リノベーション・住宅改修専業への業態転換

リノベーション専業化モデルケース

事業者概要(モデルケース)

一般建築工事業者(従業員8名・年商8,000万円)。新築住宅の下請け工事が主力だが、元請け減少と単価下落が課題

新事業の内容

中古住宅のデザイン・リノベーション専業ブランドを新設。自社でデザイン・提案・施工・アフターサービスまで一貫提供するDtoC(施主直請け)ビジネスへ転換

投資総額(想定)

約1,500万円(ショールーム改修400万円・Webサイト・3Dパース制作ツール300万円・インテリアコーディネーター資格取得・研修200万円・集客広告600万円)

補助金申請額(想定)

約750万円(補助率1/2・20人以下枠・下限ちょうど)

新規性のポイント

「B2B下請け施工」から「B2C施主直接提案型リノベーション」への顧客層・販売方式の根本的転換。デザイン提案機能・エンドユーザー集客機能が新規性の核

※上記はモデルケースです。実際の補助金額・採択結果を保証するものではありません。

パターン3:木材加工・木製品製造業への業種転換

木材加工製品製造モデルケース

事業者概要(モデルケース)

注文住宅・木造建築専門の工務店(従業員12名・年商1.2億円)。地元産木材の仕入れノウハウと木工技術が強み

新事業の内容

注文住宅で培った木材加工技術・道具・設備を活用し、オーダーメイド木製家具(テーブル・棚・キッチン収納)の製造・EC販売事業に参入。既存工場内に家具製造ラインを新設

投資総額(想定)

約2,000万円(木工機械・仕上げ設備700万円・ECサイト構築300万円・製品撮影・展示会出展300万円・人材採用・研修400万円・工場改修300万円)

補助金申請額(想定)

約1,000万円(補助率1/2・20人以下枠)

新規性のポイント

「建設業(木造工事)」から「製造業(家具製造)」への業種転換。産業分類コードが明確に変わるため新事業進出要件を満たしやすい。国産材活用・脱炭素の観点での加点も期待できる

※上記はモデルケースです。実際の補助金額・採択結果を保証するものではありません。

パターン4:太陽光・再生可能エネルギー設備メンテナンス事業

太陽光設備メンテナンス事業モデルケース

事業者概要(モデルケース)

屋根工事・板金工事業者(従業員18名・年商1.8億円)。雨漏り修繕・屋根葺き替えが主軸。太陽光パネル設置工事の下請け実績もあり

新事業の内容

設置後10年以上経過した太陽光発電設備の定期点検・洗浄・パワーコンディショナ交換・ドローン赤外線診断サービスを新規立ち上げ。年次契約型のメンテナンスサービスとして提供

投資総額(想定)

約1,600万円(赤外線カメラ付きドローン・測定器400万円・認定資格取得研修200万円・点検報告書発行システム300万円・サービス専用車両400万円・集客Webサイト・広告300万円)

補助金申請額(想定)

約800万円(補助率1/2・20人以下枠)

新規性のポイント

「屋根工事(新設・修繕)」から「設備メンテナンスサービス(継続契約型)」への事業モデル転換。ストック型収益(年次契約)への移行が付加価値成長率を説明しやすい

※上記はモデルケースです。実際の補助金額・採択結果を保証するものではありません。

パターン5:不動産管理・プロパティマネジメント事業への参入

不動産管理事業モデルケース

事業者概要(モデルケース)

総合建設業者(従業員35名・年商3.5億円)。マンション・ビルの新築・大規模修繕が主力。施主との長期関係が強み

新事業の内容

既存施主のマンション・商業施設向けに不動産管理(入居者管理・修繕手配・収支管理)を開始。宅地建物取引業免許を新規取得し、賃貸仲介・売買仲介にも参入

投資総額(想定)

約2,800万円(不動産管理システム700万円・宅建免許取得・人材採用500万円・事務所改修300万円・Webサイト・集客広告800万円・研修費500万円)

補助金申請額(想定)

約1,400万円(補助率1/2・21〜50人枠)

新規性のポイント

「建設業(工事請負)」から「不動産業(管理・仲介)」への業種転換。ただし既存顧客の物件をそのまま管理するだけでは新規性が弱くなるため、新規顧客層(他社施工物件オーナー)への展開計画が必要

※上記はモデルケースです。実際の補助金額・採択結果を保証するものではありません。

パターン6:建設ICTコンサルティング・BIM活用支援サービス

建設ICTコンサルティングモデルケース

事業者概要(モデルケース)

中堅土木・建築会社(従業員55名・年商6億円)。ICT施工・ドローン測量・BIM活用を自社で実践してきた実績あり

新事業の内容

同業の中小建設会社向けに、BIM導入コンサルティング・ICT施工ノウハウ提供・ドローン活用教育プログラムをサービスとして販売。「自社で実践したノウハウの外販」という明確な新規性

投資総額(想定)

約3,500万円(コンサル用BIMサーバー・ソフトウェア800万円・研修施設整備600万円・コンサルタント人材採用1,000万円・コンテンツ制作・Webサイト・マーケティング1,100万円)

補助金申請額(想定)

約1,750万円(補助率1/2・51〜100人枠)

新規性のポイント

「建設業(工事請負)」から「技術コンサルティング・情報サービス業」への業種転換。顧客が施主から同業他社へと根本的に変わる点で新規性が明確

※上記はモデルケースです。実際の補助金額・採択結果を保証するものではありません。

専門家1 専門家2 専門家3

新事業の補助金申請、プロに任せませんか?

採択実績豊富な中小企業診断士・行政書士が無料で診断します

無料相談

建設業が採択される事業計画書の書き方・ポイント

新事業進出補助金の採択を左右するのは、事業計画書の質です。建設業特有の観点で、審査員に伝わる事業計画書を作成するためのポイントを解説します。

事業計画書の構成と建設業が押さえるべき記載事項

章立て 建設業特有の記載ポイント 評価で重視される要素
1. 現状の事業内容 現在の主な工事種別・売上構成・主要顧客・エリア・技術的強みを数値で具体的に記載 強みが新事業でどう活きるかの橋渡しになる
2. 新事業への進出計画 既存事業との「違い」を産業分類・顧客・販売チャネルの観点で明確化。「工事請負」から「〇〇サービス業」への転換を図表で示す 新事業進出要件への合致が最も重要な審査ポイント
3. 市場・競合分析 参入する新市場の規模・成長性をデータ(矢野経済・国交省統計等)で示し、競合他社との差別化戦略を説明 「なぜこの市場か」の根拠。建設業経験者の論理的分析が評価される
4. 具体的な実施計画 月次のマイルストーン(設備導入月・資格取得月・営業開始月・初受注目標月)を明示。工程管理が得意な建設業はここで差をつけられる 実現可能性の具体性。工事工程管理の経験を活かす
5. 数値計画(3〜5年) 新事業の売上・費用・粗利・付加価値額・従業員給与の推移を年度別に試算。建設業特有の外注費・材工分離をふまえた付加価値額の計算が必要 付加価値額4%増・賃上げ3.5%増の根拠が明確かどうか
6. 加点項目への対応 パートナーシップ構築宣言・賃上げ特例・脱炭素・DX推進・事業継続力強化計画認定などの加点項目を可能な限り取得・記載 同程度の事業計画書での採択競争で差がつく部分

建設業に多い不採択パターンと対策

不採択パターン 具体的な失敗例 対策
新規性が不明確 「既存の建設工事の効率化のためにBIMを導入する」という申請は、既存事業の改善であり新事業進出要件を満たさない BIM導入だけでなく「BIMデータを活用した他社へのコンサルサービス」「施主向けのVR内覧サービス」など新たな顧客・サービスへの展開を明確にする
数値根拠が弱い 「3年後に新事業売上1億円」と書きながら、その根拠(市場規模・見込み顧客数・単価・受注サイクル)の記載がない 市場調査データの引用・既存顧客へのヒアリング実施・試算プロセスの明示。建設業の実務経験を活かし「なぜこの数値が実現可能か」を工程管理的に示す
既存事業への依存が高すぎる 新事業の初期受注先がすべて既存の発注元(ゼネコン等)であり、顧客層の広がりが計画されていない 既存顧客に加え、新たな顧客層(自治体・電力会社・農業法人・エンドユーザー個人等)への販路開拓計画を事業計画に盛り込む
補助下限額(750万円)ギリギリで内容が薄い 「ドローン1台だけで750万円を超えたので申請」。しかし事業として成立させるための研修・マーケ・システムが抜けている 投資を「機材だけ」でなく「事業を成立させるエコシステム全体」で設計。機材・ライセンス・人材・集客・システムをセットで予算化する
交付決定前の発注 採択通知後すぐに機材を発注してしまい、交付決定通知書(採択後さらに1〜2ヶ月後)が届く前に支払いが発生してしまう 採択通知と交付決定通知書は別物。交付決定通知書を受け取るまで一切の発注・契約・支払いをしない

建設業で狙えるおすすめ加点項目

建設業が取得しやすい加点項目

  • パートナーシップ構築宣言:下請け取引の適正化宣言(登録無料・発表公表で加点。建設業は下請け構造が多く特に有効)
  • 事業継続力強化計画(BCP)認定:経済産業省の認定制度。自然災害への備えを明文化(建設業は申請しやすい業種)
  • 経営革新計画承認:都道府県知事の承認が必要だが採択に大きく加点。建設業の新事業計画は経営革新計画の典型例として認定されやすい
  • 大幅賃上げ(3.5%超):補助率を1/2から2/3に引き上げ、かつ補助上限も拡大される「地域別最低賃金引上げ特例」。技能者不足の建設業では積極的な賃上げ表明が事業計画の説得力を高める
  • 脱炭素・GX関連の取り組み:太陽光・木材活用・ゼロエネルギー建築など、建設業は脱炭素との親和性が高い事業展開を打ち出しやすい

建設業が使える補助金比較:新事業進出補助金 vs ものづくり補助金 vs 省力化投資補助金

建設業が活用できる主要な補助金を比較します。目的・規模・申請難易度によって最適な補助金が変わります。複数の補助金を同時または順番に活用することで、投資負担を最小化できます。

補助金名 主な目的 補助上限額 補助率 建設業向き度
新事業進出補助金 新規市場・新事業への進出 2,500〜7,000万円 1/2〜2/3 ★★★★★
(業態転換・新サービス開始に最適)
ものづくり補助金 生産性向上・新製品・新工法開発 最大3,000万円 1/2〜2/3 ★★★★
(建設技術開発・新工法研究開発向き)
省力化投資補助金 カタログ掲載設備の省力化 最大1,500万円 1/2〜2/3 ★★★
(施工ロボット・自動化設備導入に有効)
建築GX・DX推進事業(国交省) BIM導入・LCCO2削減 面積に応じて設定 1/2 ★★★★
(BIM導入費用の直接補助に特化)
IT導入補助金 ITツール・ソフトウェア導入 最大450万円 1/2〜3/4 ★★★
(施工管理SaaS・会計ソフト等の小規模導入に活用)

補助金の使い分け・組み合わせの考え方

新事業進出補助金は補助下限750万円・総事業費1,500万円以上の大型投資向けです。ドローン機体1台だけの導入ならIT導入補助金・ものづくり補助金を、建設現場の省力化ロボット導入なら省力化投資補助金を、BIMシステム導入なら建築GX・DX推進事業を検討してください。複数の補助金を同一補助対象経費に重複申請することはできませんが、異なる経費・異なる事業に対して別々の補助金を活用することは可能です。

建設業の新事業進出補助金 申請手順(第4回・2026年)

第4回公募の申請受付は2026年6月19日18:00をもって終了しています。次回(2026年度以降)の統合後制度に向けた準備の参考として、申請手順の全体像を示します。

申請から入金までの全ステップ(標準的なスケジュール)

ステップ 実施内容 目安期間 建設業のポイント
1. GビズIDプライム取得 gBizID(経産省の事業者認証基盤)でプライムアカウントを取得。jGrantsによる電子申請に必須 2〜3週間 建設業許可証・登録基幹技能者の情報と照合されるため、最新の情報で申請
2. 認定支援機関の選定・相談 事業計画書の確認書を発行してもらう認定支援機関(商工会・商工会議所・中小企業診断士・行政書士等)に相談開始 2〜4週間 建設業の新事業進出支援実績がある機関を選ぶと計画書の精度が上がる
3. 新事業の調査・事業計画策定 市場調査・競合調査・数値計画の策定。事業計画書(10〜30ページ程度)の作成 3〜6週間 工程管理表(ガントチャート形式)を事業計画に添付すると審査員に伝わりやすい
4. 見積書の取得 補助対象となる設備・サービスの見積書を複数社から取得(50万円以上は3社以上の相見積もりが必要) 2〜3週間 ドローン・BIMソフト等の専門機材は見積もり取得に時間がかかるため早めに動く
5. jGrantsで電子申請 jGrants(https://jgrants.go.jp/)ポータルから申請書類一式をアップロード・送信 1〜2日 申請直前のシステム混雑に注意。締切日当日ではなく1週間前を目標に完成させる
6. 採択発表・交付申請 採択後、所定の交付申請書類を提出し「交付決定通知書」を取得 申請後3〜5ヶ月 交付決定通知書を受け取るまで設備の発注・契約・支払いは絶対にしない
7. 補助事業の実施 交付決定後、補助事業期間内に設備導入・事業開始。すべての経費の領収書・発注書を保管 6〜12ヶ月 建設業は工事台帳管理に慣れているが、補助金の帳票管理は専用に行う
8. 実績報告・確定検査・入金 事業完了後に実績報告書を提出。事務局の確定検査後に補助金が入金 事業完了後2〜4ヶ月 補助金は後払いのため、実施期間中の資金は自己資金または融資で準備

つなぎ融資・資金調達の戦略(建設業の資金繰り対応)

新事業進出補助金は「後払い」が原則のため、設備購入・システム導入・人材採用の費用はいったん自己資金または融資で立て替える必要があります。建設業は工事代金の入金サイクルが長いケースも多く、資金繰り対策が重要です。

建設業向け資金調達の選択肢

  • 日本政策金融公庫(国民生活事業・中小企業事業):新事業進出に伴う設備投資を対象とした低金利融資。「補助金交付決定書」を担保に融資審査が通りやすくなる場合があります
  • 信用保証協会付き銀行融資:都道府県の中小企業支援スキームと連携した制度融資。建設業許可事業者は審査で有利になることが多い
  • 補助金つなぎ融資:一部の信用金庫・地銀が提供。補助金の交付決定を前提に、事前に融資を受けて補助金入金後に返済する仕組み
  • リース・割賦払い:ドローン・BIM機器等の設備をリースで取得することで初期一括払いを回避。ただしリース料が補助対象になるかは申請時に確認が必要

建設業の申請前チェックリストと採択率向上のポイント

申請前チェックリスト(建設業向け・全項目確認)

  • GビズIDプライムの取得が完了している(取得に2〜3週間)
  • 認定支援機関(商工会・商工会議所・中小企業診断士等)に相談し、確認書の取得めどが立っている
  • 新事業が「建設業とは異なる産業分類・顧客・販売チャネルへの進出」であることを説明できる
  • 補助対象となる新事業への投資合計額が750万円以上である(機材・システム・研修・広告含む)
  • 事業計画書に3〜5年間の数値計画(売上・付加価値額・賃金)が具体的根拠とともに記載されている
  • 補助対象経費の見積書を複数社から取得済み(50万円以上は3社以上の相見積もり)かつ発注は未実施
  • 交付決定前に発注・支払いをしないルールを社内で周知している
  • パートナーシップ構築宣言を済ませた(加点項目・登録無料)
  • 経営革新計画・事業継続力強化計画(BCP)など追加の加点項目を確認した
  • 最新の公募要領(第4回・2026年3月27日付)を入手して申請要件を最終確認した
  • 資金繰り計画(後払いのつなぎ資金)の目途が立っている

建設業向け認定支援機関の探し方

認定支援機関(正式名称:認定経営革新等支援機関)は、新事業進出補助金の申請に必須の「確認書」を発行できる公的機関・専門家です。以下の方法で建設業の新事業進出支援に強い機関を探せます。

機関の種類 特徴 費用の目安 向いているケース
商工会議所・商工会 無料〜低額相談。事業計画書の基礎確認に強い。確認書発行も対応 無料〜数万円 まず相談先を探す段階・小規模事業者
よろず支援拠点 国が設置した無料経営相談窓口。専門的な経営アドバイスも可能 無料 第一相談・方向性の確認
中小企業診断士 事業計画書の作成から採択後フォローまで対応。建設業の業態転換に強い 着手金10〜30万円+成功報酬(採択補助金額の5〜10%程度) 高額申請・複雑な新事業計画
行政書士 申請書類の法的チェック・作成代行。建設業許可との整合確認も得意 10〜50万円(固定費用型が多い) 書類作成代行が必要なケース
補助金専門コンサル 採択率重視の事業計画書作成に特化。建設業の採択実績が豊富な業者を選ぶ 成功報酬型(採択補助金額の8〜15%程度) 採択率を最大化したいケース

認定支援機関の検索は「中小企業庁 認定支援機関検索システム」から地域・業種を絞り込んで探せます。

2026年度以降の建設業向け補助金制度の見通し

第4回公募(2026年6月19日締切)は、現行の「中小企業新事業進出補助金」としての最終回となる可能性が高いとされています。2026年度以降は新事業進出補助金とものづくり補助金を統合した新制度(仮称:新事業進出・ものづくり補助金)への移行が予定されています。

統合後の制度の見通し(現時点での公式情報に基づく)

中小企業庁(chusho.meti.go.jp)の発表によると、2026年度以降は新事業進出補助金とものづくり補助金を統合した形での制度継続が予定されています。詳細な補助率・上限額・申請要件は2026年度以降の正式な公募要領が公表された時点で確定します。現時点では「制度は継続するが詳細は未確定」という状況です。建設業として備えるべきことは、GビズIDプライムの取得・認定支援機関との関係構築・事業計画の骨子作成を今から進めておくことです。

最新情報は必ず以下の公式サイトでご確認ください。

まとめ:建設業が新事業進出補助金で成功するために

建設業は新事業進出補助金の活用に適した業種のひとつです。施工技術・現場管理ノウハウ・機材・法人顧客基盤という強みが、ドローン測量・リノベーション・木材加工・不動産管理・BIMコンサルなど多様な新規事業に転用できます。

新事業方向性 建設業の活かせる強み 補助金の主な活用用途
ドローン測量・点検サービス 現場経験・高所作業・測量知識・法人顧客 機体・ソフト・ライセンス取得・Webサイト
リノベーション・DtoC専業 施工技術・職人ネットワーク・顧客信頼 ショールーム・3Dツール・集客広告
木材加工・木製品製造 木材知識・加工設備・製材ノウハウ 木工機械・EC構築・展示会出展
太陽光メンテナンス 屋根・電気工事・高所作業 赤外線カメラ・点検システム・サービス車両
不動産管理・PM 建物知識・施主との長期関係 管理システム・人材採用・Webサイト
建設ICTコンサル ICT施工実践ノウハウ・現場経験 コンサルツール・研修施設・マーケティング
  1. 今すぐGビズIDプライムを取得する:取得に2〜3週間かかる。次回公募に備えて即動く
  2. 認定支援機関・商工会議所に相談する:「建設業で新事業への進出を補助金で支援したい」と伝えるだけでよい
  3. 新事業の「新規性」を明確にする:産業分類・顧客・販売チャネルの変化を具体的に言語化する
  4. 投資計画を750万円以上に設計する:機材だけでなくシステム・研修・マーケティングもセットで予算化
  5. 交付決定前は絶対に発注しない:これが最も多い失敗パターン

まずは無料相談から

新事業進出補助金の申請は、認定支援機関との連携が採択の鍵です。最寄りの商工会・商工会議所・よろず支援拠点では無料相談を受け付けています。「建設業で〇〇(ドローン測量・リノベーション等)に進出したい」と具体的に伝えることで、より実践的なアドバイスが得られます。公式情報は中小企業基盤整備機構の新事業進出補助金ポータルでご確認ください。

よくある質問(FAQ)

Aはい、建設業は新事業進出補助金の対象業種です。ただし「建設工事を別のエリアでも受注したい」「もっと大きな工事を受注したい」といった既存事業の拡大は対象外です。ドローン測量サービス・リノベーション専業化・木材加工製品製造・太陽光設備メンテナンス・不動産管理・建設ICTコンサルティングなど、建設業の強みを活かしつつ新たな市場・顧客・産業分類に進出する計画であれば申請できます。詳細は最新の公募要領と認定支援機関にご確認ください。
A第4回公募(2026年)の補助上限額は従業員規模によって異なります。20人以下の事業者で最大2,500万円、21〜50人で最大4,000万円、51〜100人で最大5,500万円、101人以上で最大7,000万円です(大幅賃上げ特例でさらに上乗せあり)。補助率は基本1/2(条件次第で2/3)で、補助下限額は750万円です。750万円未満の投資計画では申請できません。最新の補助額は公募要領でご確認ください。
A建設業者がドローン測量・点検サービスへ進出する場合、「建設業」から「測量業・サービス業」への業種転換として新事業進出要件を満たすケースが多く、採択事例も出ています。ただし補助下限額750万円以上の投資計画が必要なため、ドローン機体だけでなく測量ソフト・研修費・国家資格取得費・営業サイト制作費・集客費用等を合算して計画する必要があります。ドローン1台の購入費200〜400万円程度では申請できません。認定支援機関に相談しながら投資計画を積み上げてください。
A建設業から不動産管理業への参入は、業種転換として新事業進出補助金の申請対象となります。ただし「既存の施工先のビル・マンションをそのまま管理する」だけでは新規性が弱く、「他社施工物件オーナーへの新規営業」「宅地建物取引業免許の新規取得と仲介事業の開始」など、明確な新市場・新顧客への進出を事業計画書に盛り込むことが採択のポイントです。宅建免許取得の具体スケジュールも事業計画に含めることをお勧めします。
A新規性は主に3つの観点で証明します。①産業分類の変化:日本標準産業分類の大分類(または中分類・小分類)が申請事業で変わることを示す。②顧客層の変化:既存の発注元以外の新たな顧客(新業種の法人、エンドユーザー個人等)へのアプローチを計画書に示す。③販売チャネルの変化:工事請負(B2B)からB2Cサービス・EC・サブスクリプション型等への転換を示す。この3点のいずれか(または複数)が変わることを、具体的な数値・図表・顧客インタビュー等で裏付けることが採択のカギです。
A建設業経営者の方が自作することも可能ですが、採択率を高めるためには認定支援機関(中小企業診断士・行政書士・商工会議所等)のサポートを強く推奨します。特に「付加価値額4%以上増」「賃上げ3.5%以上増」の数値根拠の作成は専門家の支援が有効です。また建設業特有の「外注費が多く付加価値額が計算しにくい」「季節変動が大きい」といった課題も、専門家なら適切に対処できます。申請代行費用の一部は補助対象経費(専門家経費)となる場合があります。
A採択通知(内定通知)を受け取っただけでは発注できません。採択後にさらに「交付決定通知書」を受け取るまで、発注・契約・支払いは一切禁止です。採択から交付決定まで通常1〜2ヶ月かかります。交付決定前に発注した費用は全額補助対象外となりますので、必ず交付決定通知書の受取を確認してから動いてください。この点は建設業者が最も多く失敗するパターンです。
A第4回(2026年6月19日締切)は現行制度の最終回となる可能性が高いとされています。2026年度以降は新事業進出補助金とものづくり補助金を統合した新制度(仮称)への移行が予定されており、制度の継続自体は見込まれています。ただし統合後の制度詳細(補助率・上限額・申請要件)は現時点では未確定です。最新情報は中小企業庁(chusho.meti.go.jp)および中小企業基盤整備機構(shinjigyou-shinshutsu.smrj.go.jp)でご確認ください。今から準備できることは、GビズIDプライム取得・認定支援機関との相談・事業計画の骨子作成です。
Aリノベーション・DtoC専業化への転換の場合、代表的な費用内訳は次の通りです(規模により異なります)。ショールーム整備300〜500万円、3Dパース・VRツール購入150〜300万円、Webサイト制作・SEO対策200〜400万円、集客広告費(Google広告・SNS等)300〜600万円、インテリアコーディネーター資格取得・研修費100〜200万円、計総額1,050〜2,000万円程度。補助率1/2・20人以下枠の場合、補助金受給額は525〜1,000万円の見込みです(あくまで試算です。実際は公募要領・認定支援機関に確認してください)。
A建設業が取得しやすい加点項目として、①パートナーシップ構築宣言(登録無料・発表即加点)、②事業継続力強化計画(BCP)認定(自然災害への備え計画・経産省認定)、③経営革新計画承認(都道府県知事の承認・採択に大きく加点)、④大幅賃上げ特例への対応(補助率引き上げ+上限額拡大)、⑤脱炭素・GX関連事業(太陽光・木材活用・ゼロエネルギー建築等)があります。これらは可能な限り事前に取得・対応しておくと採択率向上に効果的です。
専門家1 専門家2 専門家3 専門家4

無料で専門家に相談できます

社労士・行政書士・診断士・税理士・補助金コンサルタント・IT導入支援事業者が貴社に合った補助金を診断し、申請をサポートします。

相談・診断は完全無料 申請実績豊富な専門家が対応 最短翌日に折り返し連絡
最新の問い合わせ・相談 もっと見る(過去の相談)→
新事業進出補助金のことなら
専門家チーム 専門家 専門家 新事業進出をお考えの方 専門家に無料相談する 専門家 専門家 地域・業種から選べる お近くの専門家を探す