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新事業進出×ものづくり補助金 食品工場・食品製造業向け2026年統合ガイド|申請枠の選び方・補助額・採択事例

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この記事の結論

食品製造業は日本の中小企業の中でも補助金の恩恵を受けやすい業種の一つです。原材料費の高騰・人手不足・輸出拡大需要・HACCP義務化対応など、設備投資ニーズが明確であり、補助金の審査委員が評価しやすい「生産性向上」「新規市場開拓」の観点を事業計画に盛り込みやすい特性があります。

食品工場・食品製造業が使える補助金の全体像(2026年版)

食品製造業は日本の中小企業の中でも補助金の恩恵を受けやすい業種の一つです。原材料費の高騰・人手不足・輸出拡大需要・HACCP義務化対応など、設備投資ニーズが明確であり、補助金の審査委員が評価しやすい「生産性向上」「新規市場開拓」の観点を事業計画に盛り込みやすい特性があります。

2026年現在、食品製造業が活用すべき主要補助金は下表の3制度です。本記事では特に「新事業進出補助金」と「ものづくり補助金(第23次)」の2制度を深掘りし、食品工場ならではの活用法を解説します。

補助金名 補助上限額 補助率 主な対象ケース 締切目安
新事業進出補助金(第4回) 2,500万〜7,000万円 1/2〜2/3 飲食店の食品製造参入・冷凍食品EC新設など業態転換 2026年6月19日(第4回・最終回の可能性あり)
ものづくり補助金(第23次) 750万〜2,500万円 1/2〜2/3 既存食品製造ラインの高付加価値化・HACCP設備更新 2026年5月8日(第23次)
HACCPハード事業(農水省) 最大5億円〜6億円 1/2 輸出向けHACCP対応施設整備(農水省所管・食品特化) 年度ごとに公募(最新は農水省サイトで確認)

2026年度以降の制度統合に注意

2026年度中に新事業進出補助金とものづくり補助金は「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」として統合される予定です(補助金ポータル・各コンサル社情報)。統合後の公募要領は2026年6月〜夏頃に公開見込みで、第1回申請は2026年8月〜秋頃が予想されます。現行制度での申請が可能なうちに検討することをお勧めします。最新の制度情報は中小企業基盤整備機構の公式サイトおよびものづくり補助金公式サイトでご確認ください。

食品製造業が補助金を必要とする3つの構造的課題

食品製造業が直面する構造的課題

  • 原材料費・エネルギーコストの高騰:食料品製造業の生産コストは2022〜2024年にかけて大幅に上昇。価格転嫁の難しさから利益率が圧迫されており、省力化・自動化による生産効率の改善が急務となっています。
  • 人手不足・省人化ニーズ:食品製造は労働集約型産業の代表格です。少子高齢化による人手不足は深刻で、製造ラインの自動化・ロボット化による省人化投資が生き残り条件になっています。
  • HACCP義務化と衛生管理コスト:食品衛生法の改正により、原則すべての食品事業者にHACCPに沿った衛生管理が義務付けられています。対応設備への投資負担を補助金で軽減することが可能です。

これらの課題に対し、補助金を活用して設備投資・新規市場開拓を行うことが食品製造業の競争力維持の近道です。

新事業進出補助金×食品製造業:制度概要と申請戦略(2026年第4回)

新事業進出補助金(運営:中小企業基盤整備機構、旧「事業再構築補助金」後継制度)は、既存事業から「新規事業への進出」に必要な設備投資・建物改修・マーケティング費用を補助する制度です。食品製造業・飲食業においては、業態転換を伴う大規模な新事業立ち上げに特に有効です。

第4回公募スケジュール(現行制度の最終回となる可能性)

公募期間:2026年3月27日(木)〜2026年6月19日(金)18:00(厳守)。第4回終了後は統合新制度への移行が予定されており、現行の補助率・上限額で申請できる最後の機会となる可能性が高いです。

補助率・補助上限額(食品製造業・従業員規模別)

従業員数 補助上限額(通常) 補助上限額(大幅賃上げ特例) 補助率 自己負担イメージ(通常時)
20人以下 2,500万円 3,000万円 1/2(条件次第で2/3) 5,000万円の投資で自己負担2,500万円
21〜50人 4,000万円 5,000万円 1/2(条件次第で2/3) 8,000万円の投資で自己負担4,000万円
51〜100人 5,500万円 6,500万円 1/2(条件次第で2/3) 1億1,000万円の投資で自己負担5,500万円
101人以上 7,000万円 9,000万円 1/2(条件次第で2/3) 1億4,000万円の投資で自己負担7,000万円

補助下限額:750万円(750万円未満の投資計画では申請不可)。補助率2/3が適用される「大幅賃上げ特例」の詳細要件は公式公募要領でご確認ください。

申請必須の3要件(食品製造業の場合の具体的な満たし方)

新事業進出補助金の3要件

要件1:新事業進出要件

飲食業から食品製造業への参入、食品卸業からEC直販への転換など、既存事業と業種・業態が異なる新規事業であること。「既存の飲食店舗の規模拡大」はNG。「製造・販売チャネルが新規で収益構造も変わる」であればOKの傾向あり。

要件2:付加価値額要件

補助事業終了後3〜5年の計画期間で、付加価値額の年平均成長率が4.0%以上増加する見込みの事業計画を数値根拠とともに策定すること。

要件3:賃上げ要件

補助事業終了後3〜5年の計画期間で、一人当たり給与支給総額の年平均成長率を3.5%以上増加させること。食品製造業は最低賃金の引き上げと連動して計画を立てやすい。

食品業界では「新事業進出要件」が審査の肝です。「既存の飲食店売上の延長」ではなく「製造・販売チャネル・顧客層が明確に変わる」ことを事業計画書で証明する必要があります。

食品製造業・飲食業における採択パターン5選(モデルケース)

以下は実際の採択傾向をもとにしたモデルケースです。実際の採択事例は中小企業基盤整備機構の公式サイトでご確認ください。

既存事業 新事業の内容 主な補助対象経費 新規性のポイント
飲食店(レストラン) セントラルキッチン設立+冷凍食品製造・EC直販 製造設備・急速冷凍機・ECシステム・冷凍保管庫 BtoC飲食から食品製造・BtoC通販への業態転換
食品卸・仲卸 自社ブランド食品製造ラインの新設・D2C参入 製造設備・包装機・OEMラインの内製化設備・EC構築費 卸売専業から製造小売(SPA)モデルへの転換
農業法人・農産物生産者 6次産業化(加工・販売):加工工場・直売EC新設 加工機械・包装設備・HACCPライン構築・冷蔵倉庫 農業生産(1次産業)から食品製造(2次)・販売(3次)参入
弁当・惣菜製造業 冷凍弁当・レトルト製品製造ライン新設+全国通販参入 急速冷凍機・レトルト殺菌機・自動充填包装ライン・物流システム 地域密着弁当から全国EC通販への販路・製法転換
ホテル・旅館の飲食部門 地域食材を活用したふるさと納税品・土産品の製造販売 製造加工設備・包装機・ブランドCI開発・ECサイト構築 宿泊施設内飲食から食品製造・EC販売への新業態参入

モデルケースの注意点

上記はモデルケースです。実際の採否は事業計画書の完成度・市場調査の根拠・数値計画の妥当性によって異なります。申請前に必ず認定支援機関(中小企業診断士・商工会議所等)に相談し、最新の公募要領を確認してください。

食品製造業で補助対象となる主な経費区分と具体例

経費区分 食品製造・食品工場での具体例 補助対象
機械装置・システム構築費 急速冷凍機、真空包装機、ピロー包装機、充填機、異物検出機(X線・金属探知機)、殺菌機、製麺機、製菓機械、製造管理システム(MES) 対象(最大補助額に占める割合大)
建物費・改修費 HACCP対応の衛生区画改修、冷蔵・冷凍倉庫の新設・改修、セントラルキッチンの内装工事、食品工場の排水処理設備 対象(補助額の1/2以内が上限の場合あり・要確認)
クラウドサービス利用費 ECサイト構築(Shopify等)、受注管理システム、温度管理IoTシステム、食品トレーサビリティシステム 対象
外注費 製造ライン設計・導入支援委託、ECサイト設計・制作、HACCPマニュアル作成支援、商品パッケージデザイン 対象
広告宣伝・販売促進費 自社ブランド食品のEC広告出稿、ふるさと納税掲載費、食品展示会出展費、SNS広告 対象(補助額の1/4以内が上限の場合あり・要確認)
専門家経費 中小企業診断士への申請支援料、コンサル料、HACCP導入支援料 対象(補助額の1/10以内が上限の場合あり・要確認)
研修費 食品製造技術・HACCP研修、製造スタッフ向け衛生管理研修 対象(補助額の1/10以内が上限の場合あり・要確認)

各経費区分の上限比率・適用条件は公募要領で変更される場合があります。最新の公募要領(第4回)の確認が必須です。

ものづくり補助金×食品製造業:第23次の申請要件と活用法(2026年)

ものづくり補助金(運営:全国中小企業団体中央会)は、中小企業・小規模事業者が革新的な製品・サービスの開発や、生産プロセスの改善を目的とする設備投資を行う際に活用できる制度です。第23次公募(2026年2月6日〜5月8日)は現行ものづくり補助金の最終回となる可能性が高く、採択発表は2026年8月上旬頃を予定しています。

第23次公募スケジュール

公募開始:2026年2月6日(金)/ 申請開始:2026年4月3日(金)/ 申請締切:2026年5月8日(金)17:00(厳守)/ 採択発表:2026年8月上旬頃(予定)。公式:portal.monodukuri-hojo.jp

ものづくり補助金 第23次 補助率・補助上限額(食品製造業向け)

従業員数 補助上限額(通常) 補助上限額(大幅賃上げ特例) 補助率
5人以下 750万円 850万円 小規模事業者:2/3 / 中小企業:1/2
6〜20人 1,000万円 1,250万円 小規模事業者:2/3 / 中小企業:1/2
21〜50人 1,500万円 2,000万円 1/2
51人以上 2,500万円 4,000万円 1/2

補助下限額:100万円。「小規模事業者」とは製造業の場合従業員20人以下の事業者を指します。補助率・要件の詳細は公募要領(第23次)でご確認ください。

ものづくり補助金で採択されやすい食品製造設備15選

食品製造業のものづくり補助金では、生産性向上・品質向上・新製品開発に直結する設備投資が高く評価されます。以下は採択実績が高い設備の代表例です(補助対象かどうかは最新の公募要領で確認してください)。

設備カテゴリ 具体的な設備・機器 申請に際しての強調ポイント
冷凍・保存技術 急速冷凍機(液体窒素式・接触式・エアーブラスト式)、真空凍結乾燥機、チルド保管設備 食品ロス削減・商品の長期保存・通販展開の根拠として有効
包装・充填 真空包装機、ピロー包装機、ガス充填包装機(MAP包装)、自動充填機、トップシール包装機 包装工程の省人化・鮮度維持・外観品質の均一化
品質検査・異物検出 X線異物検出機、金属探知機、重量チェッカー、外観検査AI、形状選別機 HACCP対応・リコールリスク低減・輸出対応品質の実現
製造ライン自動化 食品用ロボットアーム(ピッキング・盛り付け)、コンベアシステム、自動計量機 人手不足対応・衛生水準の向上・製造能力の拡大
加熱・殺菌 レトルト殺菌機、スチームコンベクションオーブン(大型業務用)、マイクロ波加熱装置 新製品(レトルト・冷凍調理済み食品)ラインの立ち上げ
食品加工 フードカッター、スライサー、成形機、混合機(ミキサー・ブレンダー)、製麺機、製菓用機械 新製品開発・多品種少量生産への対応・加工精度の向上
品質管理・データ活用 温度管理IoTセンサーシステム、製造実行システム(MES)、食品トレーサビリティシステム HACCPデジタル化・データ根拠の品質保証・輸出市場向け対応

ものづくり補助金で食品製造業が採択率を上げる5つのポイント

  1. 「革新的」を具体的に示す:単なる「設備老朽化更新」はNGです。「新技術の導入(急速冷凍×液体窒素)により、従来不可能だった長距離通販・常温配送を実現する」など、技術的新規性を事業計画書に明記することが採択の鍵です。
  2. 数値目標を根拠とともに設定する:「生産効率30%向上」「廃棄ロス40%削減」などの数値目標は、設備カタログのスペック・類似企業の実績・市場調査データを根拠として添付することで説得力が増します。
  3. GビズIDプライムを最優先で取得する:申請はGビズIDプライムが必須です。取得に2〜3週間かかるため、申請を考えたらすぐに取得手続きを開始してください。
  4. 付加価値額の成長計画を現実的に立てる:基本要件として「付加価値額の年平均成長率3.0%以上(または給与支給総額1.5%以上増、もしくは1人当たり給与支給総額3.0%以上増)」が必要です。食品製造業の場合、新製品開発による単価向上・販路拡大による売上増の計画が評価されやすいです。
  5. 賃上げ目標を明確にする:第23次では賃上げへの取り組みが加点・必須要件として強化されています。地域別最低賃金の引き上げを見越した賃上げ計画を事業計画書に組み込むと加点を受けやすくなります。
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新事業進出補助金 vs ものづくり補助金:食品製造業の選び方と使い分け

食品製造業者にとって最も重要な判断は「どちらの補助金を申請するか、または並行申請できるか」という点です。以下の比較表と判断フローを活用してください。

2制度 徹底比較表

比較項目 新事業進出補助金(第4回) ものづくり補助金(第23次)
補助上限額 2,500万〜7,000万円(従業員規模別) 750万〜2,500万円(従業員規模別)
補助率 1/2(条件次第で2/3) 1/2〜2/3(小規模事業者は2/3)
補助下限額 750万円 100万円
主な対象 新規事業への「業態転換・新分野進出」が伴う大規模投資 既存事業の「革新的」製品開発・生産性向上投資
事業の新規性 既存業種とは異なる新業態への進出が必須 既存事業の延長でも「革新的」製品・プロセスなら可
食品製造業に向く典型例 飲食店が食品製造・EC直販を新設、食品卸が自社ブランド製造参入 既存食品製造ラインへの急速冷凍機・異物検出機・自動包装機の導入
建物費の補助 対象(改修・新設とも) 対象(ただし原則補助額の1/2が上限・要確認)
申請締切 2026年6月19日(第4回) 2026年5月8日(第23次)
認定支援機関の必要性 必須(事業計画書への確認・押印) 必須(事業計画書への確認・押印)
GビズID 必須(Jグランツで申請) 必須(公募サイトのシステムで申請)
2026年度以降 ものづくり補助金と統合予定(新制度へ移行) 新事業進出補助金と統合予定(新制度へ移行)

食品製造業の補助金選択フローチャート

どちらを選ぶか:判断の4ステップ

  1. 投資金額を確認する:投資が750万円未満なら新事業進出補助金は申請不可(補助下限750万円のため)。ものづくり補助金(補助下限100万円)を検討。
  2. 既存事業との関係を確認する:「現在の飲食・食品卸事業とは根本的に異なる業態(食品製造・EC直販等)に進出する」なら新事業進出補助金が有力。「現在の食品製造ラインを高度化する(新製品開発・設備更新)」ならものづくり補助金が有力。
  3. スケジュールを確認する:ものづくり補助金の締切(5月8日)の方が先。早期の判断と準備が必要。
  4. 認定支援機関に相談する:最終的には認定支援機関(商工会議所・中小企業診断士等)と事業計画の方向性を話し合い、どちらの制度に適合するか確認する。

同一の設備投資で両方に同時申請することはできません

同一の設備・投資内容に対して新事業進出補助金とものづくり補助金を同時申請することは原則として認められていません。ただし、事業の異なる部分(新設のECシステムはもの補助、既存製造ラインの高度化は新事業補助)にそれぞれ申請するケースは過去に見られています。詳細は認定支援機関と公募要領でご確認ください。

2制度の戦略的な組み合わせ方(中長期活用計画)

食品製造業が補助金を最大活用するには、1回の申請で終わらせず、中長期的な計画のもとで複数回・複数制度を組み合わせる視点が重要です。

フェーズ 時期の目安 活用する補助金 投資内容のイメージ
フェーズ1:新規参入期 2026年〜 新事業進出補助金(第4回) セントラルキッチン設立・ECシステム構築・冷凍倉庫整備
フェーズ2:ライン高度化期 採択後1〜2年 ものづくり補助金(次回以降・統合後新制度) 製造ラインの自動化・AIを活用した品質検査システムの導入
フェーズ3:輸出拡大期 2〜4年後 HACCPハード事業(農水省)またはものづくり補助金グローバル枠 輸出向けHACCP対応施設整備・海外認証取得対応の設備投資

食品製造業の補助金申請チェックリスト(新事業進出・ものづくり共通)

申請前・申請中・採択後のフェーズ別チェックリストです。特に採択前の発注・工事着工は補助対象外となる最大のリスクですので注意してください。

【申請前】準備フェーズのチェックリスト

チェック項目 新事業進出 ものづくり 目安期間
GビズIDプライムの取得申請 必須 必須 2〜3週間(早急に申請)
認定支援機関のパートナー確保 必須 必須 2〜4週間前には打診
最新の公募要領を精読・自社の申請要件確認 必須 必須 申請開始の1ヶ月前
設備の見積書取得(3者以上の相見積もり推奨) 必須 必須 申請期間中
市場調査データ・競合分析の収集 必須(新事業の市場規模・成長性の根拠) 推奨 事業計画書作成前
直近3年分の決算書・財務資料の準備 必須 必須 事業計画書作成前
HACCP対応計画書・食品衛生許可証の整備 推奨(食品製造新設の場合) 推奨(HACCP関連設備の場合) 申請〜採択後
補助金採択後の資金調達計画(つなぎ融資含む) 必須 必須 申請期間中〜採択前

【採択後】補助事業実施フェーズのチェックリスト

チェック項目 注意点
交付決定通知の受領まで発注・契約しない 採択後も「交付決定」が出るまでは発注・着工・契約禁止(最多の失敗パターン)
補助事業実施期間内に事業を完了させる 交付決定から通常12〜18ヶ月以内に全ての設備導入・支払いを完了
補助対象経費の領収書・支払証明の保管 全ての経費について証拠書類(請求書・領収書・通帳の写し)を完備
実績報告書の提出 補助事業終了後に実績報告書を提出して確定検査を受ける(これが終わるまで補助金は入金されない)
補助金の「後払い」を前提とした運転資金計画 補助金は後払いのため、実施中の資金はつなぎ融資または自己資金で賄う必要あり
事業化状況報告(採択後5年間) 採択後も売上・付加価値額・雇用状況を毎年報告する義務あり。目標未達の場合は補助金の一部返還を求められることがある
購入設備の目的外使用・転売の禁止 補助金で取得した設備は原則として補助事業の目的以外に使用・売却できない(一定期間)

食品製造業が陥りやすい申請ミスと対策

よくあるミス 具体的な状況 対策
交付決定前の発注 採択後すぐに設備メーカーに発注してしまい、補助対象外になるケース 必ず「交付決定通知書」受領後に発注・契約・着工する
新規性が証明できない 「設備の入れ替えです」という説明で革新性が審査で認められない 新技術・新製品・新市場への寄与を具体的・定量的に説明する
GビズIDが間に合わない 締切直前に申請を始めてGビズID取得(2〜3週間)が間に合わない 申請を検討したらその日のうちにGビズID申請を開始する
食品衛生許可・HACCP対応未了 新規食品製造業への参入を計画しているのに食品衛生法の許可手続きが遅れる 所轄保健所への事前相談を補助金申請と並行して進める
数値計画の根拠が弱い 「冷凍食品市場は成長している」という定性的記述だけで採択されない 矢野経済研究所・農水省・総務省統計局のデータを引用して定量的根拠を示す
補助対象外経費の混入 補助対象外の「土地取得費」「光熱費」「消耗品費」を経費計上してしまう 経費計上前に認定支援機関と公募要領で補助対象か必ず確認する

HACCPハード事業(農水省)との棲み分けと食品製造業の活用戦略

食品製造業には農林水産省が所管する「HACCPハード事業」という強力な補助金制度もあります。補助上限額は最大5億〜6億円と大規模で、輸出を視野に入れた食品製造業者に特に有効です。

HACCPハード事業の概要と新事業進出・もの補助との違い

比較項目 HACCPハード事業(農水省) 新事業進出補助金 ものづくり補助金
所管省庁 農林水産省(食料産業局) 中小企業庁・中小機構 経済産業省・全国中小企業団体中央会
補助上限額 最大5億円〜6億円(施設整備) 2,500万〜7,000万円 750万〜2,500万円
補助率 1/2 1/2〜2/3 1/2〜2/3
主な対象 輸出向けHACCP対応施設の新設・改修 新規業態への進出 生産性向上・革新的製品開発
食品業種限定か 食品製造業に限定 全業種(食品含む) 全業種(食品含む)
輸出要件 輸出向け施設が対象(輸出計画が必要) 特になし グローバル枠は輸出要件あり
公募時期 年度ごとに公募(農水省・都道府県窓口) 2026年6月19日(第4回) 2026年5月8日(第23次)

HACCPハード事業の最新公募情報は農林水産省の公式サイトおよび各都道府県の農政担当窓口にてご確認ください。

2026年度統合新制度「新事業進出・ものづくり補助金」:食品製造業への影響

2026年度中に新事業進出補助金とものづくり補助金が「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」として統合される予定です。公募要領は2026年6月頃の公開が見込まれており、第1回申請は2026年8月〜秋頃が予想されます。食品製造業への影響と準備ポイントを解説します。

重要:統合後の制度詳細は未確定

統合新制度の公募要領は2026年6月時点で未公開です。補助率・補助上限額・申請要件については現行制度から変更される可能性があります。本記事の統合後情報は予告的な内容であり、正式な公募要領が公開され次第、公式情報を必ず確認してください

統合新制度の申請枠構成(予告情報・確定は公募要領で確認)

申請枠(予告) 対応する旧制度 食品製造業での主な活用シーン
革新的新製品・サービス枠 旧ものづくり補助金相当 新製品開発・製造ライン高度化・HACCP対応設備
新事業進出枠 旧新事業進出補助金相当 飲食業から食品製造参入・食品卸からEC直販参入
グローバル枠 旧ものづくり補助金グローバル枠拡充 海外輸出向け食品製造設備・HACCP対応施設整備

統合後のグローバル枠は旧ものづくり補助金グローバル枠(上限3,000万円)から補助上限が大幅に引き上げられる見込み(最大7,000万〜9,000万円)で、輸出拡大を目指す食品製造業にとって有力な選択肢になることが期待されます。

統合新制度に向けた今すぐできる準備

  1. GビズIDプライムを今すぐ取得する:統合後の新制度でも引き続き必要となる見込みです。申請を検討している食品事業者は今すぐ取得手続きを始めてください(取得期間:2〜3週間)。
  2. 認定支援機関との関係を構築する:統合後の新制度でも認定支援機関(中小企業診断士・商工会議所等)との連携が必要となる見込みです。早めにパートナー関係を作っておくことで、公募開始後すぐに動けます。
  3. 事業計画の方向性を固める:「既存製造ラインの高付加価値化」か「新業態への進出」かを明確にすることで、どの枠に申請するか素早く判断できます。統合後も、事業計画書の核となる「市場分析・数値目標・新規性の根拠」の準備は共通です。
  4. 公式情報チャンネルを登録する:中小企業庁(chusho.meti.go.jp)・中小機構のメルマガ・ものづくり補助金公式サイトの更新情報を定期確認するか、担当コンサルタントに情報収集を依頼してください。

食品製造業の補助金申請サポートを受けられる無料相談窓口

補助金申請は事業計画書の完成度が採択率に直結します。以下の公的窓口では無料相談を受け付けており、食品製造業の専門知識を持つ相談員が対応してくれるケースも多いです。

相談窓口 特徴・対応範囲 費用 連絡先
よろず支援拠点(中小機構・全都道府県) 中小企業・小規模事業者の経営相談を無制限回数・無料で対応。補助金選定・事業計画書の方向性相談が可能 無料 よろず支援拠点全国本部サイト
商工会議所・商工会 地域密着型の中小企業支援機関。ものづくり補助金・新事業進出補助金の申請支援実績が豊富 会員は無料・非会員は有料の場合あり 最寄りの商工会議所に問い合わせ
中小企業診断士(認定支援機関) 事業計画書の作成支援・申請代行まで対応。成功報酬型の費用体系が多い 着手金+成功報酬(採択額の5〜10%程度が一般的) 各都道府県の中小企業診断士協会に紹介依頼
農業振興地域の農政担当部署(食品製造・農商工連携の場合) 6次産業化・農商工連携に関する補助金情報の提供。HACCPハード事業の都道府県窓口を案内してもらえる 無料 各都道府県農政部局に問い合わせ
日本政策金融公庫 補助金とセットで活用できる融資制度の相談。補助金採択後のつなぎ融資相談も可能 無料(融資実行時に利率) 日本政策金融公庫公式サイト

まとめ:食品工場・食品製造業が2026年に取るべき補助金戦略

2026年は食品製造業にとって補助金活用の歴史的なタイミングです。新事業進出補助金(第4回・6月締切)とものづくり補助金(第23次・5月締切)はいずれも現行制度の最終回となる可能性が高く、かつ統合新制度への移行準備期間でもあります。

あなたの状況 推奨する補助金・アクション
飲食店・食品卸からセントラルキッチン・冷凍食品製造・EC参入を検討している 新事業進出補助金(第4回)を最優先で検討。今すぐGビズIDを取得し認定支援機関に相談
既存の食品製造ラインに急速冷凍機・異物検出機・自動包装機を導入したい ものづくり補助金(第23次)が適合。5月8日締切に向けて今すぐ動く
輸出拡大を目指してHACCP対応施設を整備したい HACCPハード事業(農水省)と新事業進出・もの補助の組み合わせを認定支援機関に相談
2026年度統合後の新制度を待って申請したい 今すぐGビズIDを取得し事業計画の方向性を固めておく。公募要領公開は2026年6月〜夏頃の見込み

食品製造業の補助金活用、今すぐ始める3ステップ

  1. GビズIDプライムを今すぐ申請する(取得まで2〜3週間・これが全ての入口)
  2. 最寄りのよろず支援拠点または商工会議所に相談予約を入れる(無料・補助金の適否を専門家に確認)
  3. 公式情報を最新版で確認する新事業進出補助金公式ものづくり補助金公式中小企業庁

最終更新:2026年6月25日 / 出典:中小企業基盤整備機構(shinjigyou-shinshutsu.smrj.go.jp)・経済産業省中小企業庁(chusho.meti.go.jp)・ものづくり補助金公式(portal.monodukuri-hojo.jp)・農林水産省(maff.go.jp)・補助金ポータル(hojyokin-portal.jp)・各認定支援機関公開情報。補助率・補助額・申請要件は公募回ごとに変更される場合があります。最新の公募要領で必ずご確認ください。

よくある質問(FAQ)

A事業の性質によって異なります。「既存の食品製造ラインに急速冷凍機・自動包装機・AIを活用した品質検査システムを導入して生産性向上・新製品開発を行う」場合はものづくり補助金(第23次・2026年5月8日締切)が適合します。「飲食店・食品卸から食品製造業に新規参入する」「セントラルキッチンを新設してEC直販を始める」など既存事業とは業態が大きく変わる場合は新事業進出補助金(第4回・2026年6月19日締切)が有力です。投資額が750万円未満の場合は新事業進出補助金の補助下限(750万円)を下回るため、ものづくり補助金(補助下限100万円)を選択することになります。最終判断は認定支援機関(中小企業診断士・商工会議所等)にご相談ください。
A急速冷凍機の導入はものづくり補助金・新事業進出補助金のどちらでも補助対象となり得ます。「既存の食品製造業として急速冷凍技術を活用した新製品を開発する(例:液体窒素式急速冷凍で従来不可能な高品質冷凍食品を製造)」ならものづくり補助金。「飲食店が急速冷凍機を導入してEC通販という新業態を始める」なら新事業進出補助金が適合しやすいです。いずれの場合も「革新性・新規性」を事業計画書で明確に示すことが重要です。機器の価格・投資総額も踏まえて認定支援機関に相談することをお勧めします。
A飲食店(BtoCの店舗飲食)からセントラルキッチン設置による食品製造・EC直販(BtoC通販)への転換は、販売チャネル・顧客層・事業モデルが根本的に変わるため、新事業進出補助金の「新事業進出要件」を満たすケースとして過去に採択例があります。ただし「既存の飲食事業の延長」とみなされると要件を満たさない場合もあるため、事業計画書の作成には認定支援機関(中小企業診断士・商工会議所等)のサポートが不可欠です。投資内容(セントラルキッチン設備・冷凍機・ECシステム)が補助下限750万円を超えることも確認してください。
AHACCPに対応した衛生管理設備(自動洗浄・殺菌システム、温度管理システム等)や工場改修(衛生区画の改修、排水処理設備等)はものづくり補助金の補助対象となり得ます。ただし「単なる義務対応(HACCP義務化への最低限の対応)」は「革新的」とみなされにくく採択率が下がる傾向があります。「HACCP対応を通じて輸出市場(海外認証取得)に参入する」「HACCPデジタル化でデータ活用による品質保証体制を構築する」など、一歩踏み込んだ革新性を盛り込むことが採択率向上のポイントです。また農水省のHACCPハード事業(輸出向け・最大5〜6億円)も別途ご確認ください。
A農業法人が食品加工(ジャム・漬物・乾燥野菜・冷凍食品等の製造)に参入する6次産業化は新事業進出補助金の「新事業進出要件」を満たしやすいケースです(農業生産という1次産業から食品製造という2次産業への参入)。加工機械・包装設備・冷凍庫の整備、ECサイト構築などが補助対象となり得ます。ものづくり補助金も農業法人が中小企業者に該当する場合は申請可能です。また農水省の6次産業化・農商工連携向け補助金も別途存在しますので、都道府県の農政担当窓口にも相談することをお勧めします。
A2026年6月時点では統合新制度の公募要領は未公開です。各コンサル会社・補助金ポータルの情報によると、公募要領の公開は2026年6月〜夏頃、第1回申請の受付は2026年8月〜秋頃が予想されています。ただしこれらはあくまで予測であり、正式なスケジュールは中小企業庁(chusho.meti.go.jp)・中小機構の公式発表をご確認ください。現行制度(新事業進出補助金・ものづくり補助金)の申請をまだ行っていない方は、統合前の現行制度での申請を先に検討することをお勧めします。
A新事業進出補助金・ものづくり補助金のいずれも、事業計画書への認定支援機関(中小企業診断士・行政書士・商工会議所等)の確認・押印が必須です。無料で対応できる窓口(商工会議所・よろず支援拠点)もありますが、事業計画書の作成支援まで依頼する場合は民間の中小企業診断士・コンサル会社に依頼することが多く、費用は「着手金(10万〜30万円程度)+採択時の成功報酬(補助採択額の5〜10%程度)」が一般的な相場です。補助金の事業計画書作成に関わる専門家経費(申請支援料等)の一部は補助対象経費として認められる場合があります(上限あり・要確認)。まずは商工会議所・よろず支援拠点の無料相談から始めることをお勧めします。
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